第22話慈悲の元に死を
マーシャさんの語る真実は信じ難いものだった、アルカノイドは異星の賢人が作った方舟であり、この地に異星の種を繁栄させようとしている。
「信じられないのも無理はない、ここにある物
を見れば嫌でも信じるようになるさ、何しろここは、アルカノイドの肉片から分離させた異星の植物の研究所だからな…」
異星の植物の研究所?
私達はいくつものセキュリティをくぐり、奥に案内される。
「これは……」
観たことない様々な植物があった。
黄色や赤い果実がなっている、これが異星の植物なのか?
「ここで生態系に悪影響がなく、有益であると判断されれば世にだせる、神殿で飲まれてるコーヒーもアルカノイドから分離された植物だ」
大神官が説明する、コーヒーが異星の植物?
ただ広まって無いだけだと思っていた。
「アルカノイドは膨大な生命情報を持っている、そのなかでも私達の食物に悪影響を及ぼす物を選んで放っている、その影響は凄まじい」
私はマーシャさんの説明に息を呑む。
「アルカノイドが使った、快楽の内に死ねる毒と言うのは異星の植物アツミゲシから作ったものだ、本当に奴は慈悲のつもりで使ったんだよ」
「聖剣が本来の力を出せませんでした、どうすれば倒せますか?」
聖剣は通じたがそれは物理的な力のみ、聖なる力は発動しなかった。
「聖遺物を破壊する、奴の心を折らない限り又復活する……」
アルカノイドは豊な耕作地帯を見ていた。
彼女は穀倉地帯に手をかざすと呟いた。
「繁殖せよ!セイタカアワダチソウ!」
彼女の言葉と同時に樹王無尽に地下茎が張り巡らされ、茎が伸び、瞬く間に黄色い花がさく。
それと同時に周りの作物が枯れ始めた。
セイタカアワダチソウが出す、化学物質アレロパシーの効果である。
「アルカノイド様、ナガエツルノゲイトウにより水路及び海上封鎖完了いたしました」
全身緑でトゲだらけ部下が報告する。
彼女の部隊は戦闘はしない、徹底的に生態系を破壊し人間から食料を奪う。
「これで船による食料の運搬は出来なくなったわね」
「ですが……エンジェル・トランペットとブッシュマンポイズンが倒され、アルカノイド様もダメージを受けた、こちらから攻めた方がよろしいのでわ?」
「その必要はありません、それより食料不足により飢餓状態になった村や街はありますか?」
「ここから北にある村が飢餓状態に入りました」
「そう、タイマを炊いてあげましょう楽に死なせないと…」
「恐れながら共食いを始めるまで、待ったほうが効率がよいのではありませんか?」
「なりません、彼らは絶滅して貰いますが悪戯に苦痛を与えては駄目です」
彼女は慈悲の名の下に死を振りまく。
慈悲の心を持つ、彼女が魔王軍でもっとも人間を死に至らしめるのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます