第18話それぞれの思い

私には信じる物が三つあった、信仰心、力、金。

この三つは関係がある、信仰心があれば加護と言う力が手に入り、力があれば金が入る。

神官が金を信じると言ったら白い目で見る者もいるだろう。

私は思うのだ金があって、ある程度満たされた時の信仰こそ真ではないか。

苦しいときだけ神に縋るのは贋物だ。

そして、今日信仰が揺らいだ!

アルカノイドという、魔王軍の四天王に平伏したのだ!

あの女は体内に本物の聖遺物を埋め込められている、神官である私には分かってしまった。

あれは人間でありながら神のように信仰された、本物の救世主の遺骨だ。

絶対に生き残り真相を知りたい、厄災と星の英雄を無かった事にした、上層部なら知ってるはずだ。

「一人でやるだと?」

「ええ、格闘できるの機密事項なんですよ、勇者様は知ってますが……」

モニカは手袋に続いて上着を脱ぎ捨てる。

ブッシュマンは矢を放つ。

私は最初の動きで躱し正拳突きを放つ!

「素手で殴るとはな!お前は終わりだ!」

ブッシュマンは木質化した腕でガードした。

拳の皮膚が爛れ出す!

「俺の全身に毒がある!」

「だからなんです…!」

私は構わず拳を打ち続ける!

「がっ!何故動ける激痛のはずだ!」

痛覚を遮断し、魔力で解毒と再生を同時にやる、白い手袋は女神イシュタルへの不戦の誓い!

それを開放することにより爆発的に強くなれる、当分格闘が出来なくなるデメリットがあるが、こんなところで死ねない。

傷みが感じない代わりに生命力が減るのがわかる、ハッキリ言って恐ろしい。

厄介な毒らしく自分の命が減り続ける、痛覚を遮断する代わりに命の残量が感覚でわかるようになっている。

ブッシュマンはもは原型を止めて居ない、相手もボロボロだが、私も命の残量があと僅か。

私は拳に魔法力を込め、必殺の一撃を放つ。

魔法力と拳圧で体に風穴があく。

ようやく敵は沈黙した、私はダメージを負いすぎた。

「モニカ!」

片膝をついた私にクーンさんが駆け寄ってくる。

「私は暫く動けません……クーンさん民家の中に入り食料と水を確保して下さい」

「なんだと?」

「非常事態です、私が責任取るのでやって下さい…貴方だって食べないと回復しませんよ…」

「分かった…」

私はため息をつく、勇者パーティーが火事場泥棒みたいで情けない……… 




「ぐっうう」

私はキースを背負ったまま川岸によじ登る。

勇者として鍛えて来たが、戦闘のダメージがいるが、それよりキースだ。

私は彼の様子を確認する。

胸に耳を近づけると呼吸音が聴こえる。

あとは背中だ、キースは私を庇って傷をおったはず、背中を確認するとマントのお陰で大事には至っていないようだ。

私は回復魔法を掛けると辺りを見回す、近くに小屋があった。

私はキースを背負って小屋を目指した。

「すみせん誰かいませんか?」

私は小屋に入る前に声を掛ける。

中に入ると干乾びた死体があった、病死なのか、魔物に殺られたのかわからない。

取り敢えず枝を拾って囲炉裏に火を点ける。

私は死体を埋め土を盛り墓を建てた。

小屋の中を物色する、埃を被った毛布を見つける今から洗って干せば何とかなるだろう。

私はキースの服を脱がすと風魔法で乾かした、マントをかけて上げる。

毛布を川から汲んできた水で洗い、キースと自分の服を干す。

「ネズミか……」

台所を物色してるとネズミを捕まえた、私はネズミをしめる。

「弱まっているキースには無理だな…」

私はネズミをナイフで解体する、皮を剥ぎ内蔵をとり、拾ってきた木の枝に突き刺す。

囲炉裏の火でネズミを焼く。

焼けたのを確認して食べてみるが不味い、腐肉で無い分ましだが、栄誉を取らないと戦えない。

キースにはもっと良いもの食べさせたいな、明日鹿でも探しに行くかな。


夜日が暮れてくる、気温が温暖で過ごしやすい地域で良かった。

毛布一枚で充分寝れそうだ、私はキースの横に寝る、ふと彼の顔見る。

『キースは私を護りたいといった、実行出来る力も手に入れた……代償に何を払ったの?』

















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