第17話侵略的外来種

クーンが私の前に剣を構えてたつ。

「モニカはダイナの回復を!キースは援護をしてくれ!」

「下手に魔法を使うと毒が広まっちまうな、師匠が逃げろと言う訳だ…」

「師匠……マーシャかしら?」

アルカノイドはキースの師と戦ったことがある?

「アルカノイド……君は五十年前に星の英雄に倒された厄災なのか?」

マーシャは星の英雄と供に厄災を倒し、世界を救ったと言う。

「そうよ、星の英雄に私は倒され長い活動停止を余儀なくされたわ…」

此れ程の相手に女神は何もしなかった?

救世主の遺骨で存在を誤魔化したのか、それでも多くの死者を出したのにわからないはずは…。

『敢えて何もしなかったというの?』

「確かにこの世界の人間にとって私は厄災だった、だけど勇者と私は相性が悪い、何故か?私は邪悪ではないのよ」

「人を殺して邪悪ではないだと?」

「善悪は立ち位置によって変わるもの、勇者は内なる敵、魔王や魔族に特化した女神が用意した兵器、外来の者である私には効果的ではないの」

「関係ない!人を殺すと言うなら戦わない選択はない!!」

そうだ!人が死ねば!人々から笑顔が消える。

人々の笑顔の為にここに立っている。

「ソルトアース…」

アルカノイドの体から聖なる光が溢れ出る。

私とモニカは頭を垂れ地に伏しそうなる、キースとクーンも膝をつけた。

『ぐっ!この私が!イシュタル様意外に頭を垂れる何て!?』

モニカは驚愕していた、災厄と言われた存在が聖なる力で自分を押さえつけているのだ。

「くっそおぉ!トカマク!」

一番信仰心の無さそうなキースが反撃した、爆熱がアルカノイドを包む!

「煙は吸うなよ!」

キースの予測通り煙にも毒が含まれている、毒耐性の無いものなら命に関わるだろう。

「アースソルトで心を折って欲しかったのだけど……」

馬鹿な!キースの呪文は確かに命中したはず。

「心を折るどころか…ダメージを受けるとはね」

アルカノイドは膝をついた、全くダメージを与えられないという訳じゃない。

「キース!多少の毒ならモニカで対処できる!構わず攻撃して!」

私に合わせてようにクーンも前にでる。

「エンジェル・トランペット!、ブッシュマン・ポイズン!」

アルカノイドの前に召喚サークルが現れ、二体の魔物のようなものが出現する。

「ダメージを負ったわ……後は任せる」

「おお、アルカノイド様がダメージを!?」

「おまかせ下さい!」

四天王がダメージを負ったからと言って部下に任せて帰る?

「逃げるのか!」

「私のスタイルじゃないの…暴力…、二人とも過度の苦痛は与えないようにね」

「我等の毒で即死です、ご安心を!」

「破壊作戦にお戻り下さい!」

また、毒持ち!

ブッシュマンポイズンと呼ばれた者は褐色で弓をもっている。

対してエンジェルトランペットと呼ばれた者は、体の彼方此方から白いラッパのようなもの花がたれさがっている。

魔族とも魔物とも違う気配!

ブッシュマンは矢を放つ、私とクーンは躱し距離をつめる。

エンジェルのラッパの様な花が銃口のように向けられる。

「クーン下がれ!」

嫌な予感は的中した、花から毒の花粉が吹き出したのだ!

一種視界が歪むが、毒耐性で一瞬で収まる。

「私の神経毒を無効化した?人間ではないのか?」

「トランペット!致死量に成っていなかっただけだ!散布しろ!」

ブッシュマンは矢を打ち続ける。

「月光!」

クーンは闘気剣を飛ばす!

「ぐぁぁ」

ブッシュマンの腕を切り飛ばす。

「貰った!桜花!」

クーンは止めを刺そうとした!

だが、ブッシュマンの腕は一瞬で再戦され、毒矢を放つ!

咄嗟にクーンは反転し躱そうとするが掠ってしまう。

「クーン!下がれ解毒を!」

私はクーンを下がらせた。

私は解毒の時間を稼ぐ為に攻撃を繰り出す。

キースも魔力弾で援護してくれる、私はエンジェルトランペットと呼ばれた者を気を伏せた。

『毒を吸いすぎたか…』

視界が歪む、私以外だったら幻覚をみて錯乱していただろう。

『何だ!?』

倒れているトランペットの体から、高密度の魔力反応が自爆か!

「ダイナ!」

魔術師のキースが誰よりも早く気づき私を庇う。

奴の体が爆発し二人とも吹き飛ばされ川に転落する。

「勇者殿!キース!」

「大丈夫ですよ…この程度で勇者は死なないです…」

クーンは二人の心配をしていたが、モニカは違った。

二人共それなりに追い詰められた……

二人の関係が深まるのはあまり良くない、それは都合が悪い。

死の淵を供に乗り越え、絆が深まり男女の仲になるというのは物語の中の話だけではない。

生命の危機に対して、子孫を残そうと異性とそういう事に成ることはある。

まして、あの二人は既に惹かれ合っている。 

「クーンさん……今回は私一人でやりますね」

モニカは手袋を脱ぎ捨てた。




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