第14話望んだ事
私はため息をつく。
勝った気がしない…負傷兵も多く、本陣の゙テントでキースもあれからずっと寝ている。
辺はもう暗く、寝る時間なのだが色々と気になって眠れない。
「眠れないのですか?」
モニカが声を掛けてきた。
「ああ…キースの師匠のマーシャこと何か知ってる?」
「知ってますよ…私以上の神官なら知らない人はいません」
以外な答えだった、モニカ以上の神官は全て知ってる?
「何をした人なの?」
「五十年程前に起こった厄災を止めたんですよ…星に選ばれた英雄と供に…」
そんな事実聞いたことがない、子供の頃から神殿で修行していたが、それ程の偉業なら噂位は街に行った時聞いてるはず。
「聞いたことがない…」
「そうでしょうね、神殿が総力を上げて痕跡を消しましたから?」
痕跡を消す?何を言ってるのか、私にはわからなかった。
「だってそうでしょ?女神イシュタルに選ばれた勇者以外が世界を救った…その様な事実は許されない!」
そんな馬鹿な!命をかけて世界を救った英雄を勇者じゃないという理由で抹消した。
「災厄って何があったの?」
「魔王に匹敵する何かが現れ暴れた、そして多く死者がでましたが、気候変動による飢餓、疫病というという事にすり替えました」
魔王に匹敵するなにか?
私は疑問に思う女神イシュタルは何故?その敵に対応しなかったのか?
女神イシュタルはこの世界の全てを見通すという。
「勇者様の疑問はわかりますよ?何故女神様は厄災を事前に予測できなかったか、何故何もしなかったのか…私の想像ですが異なる場所から来た、そして神の視点から見て邪悪ではなかった…」
「異世界からの魔神でも来たというの?」
「わかりません、ただ神の視点で邪悪で無くても…人間とこの星にとっては排除すべき敵だったのではないでしょうか?」
私は今まで邪悪では無い敵と言う物を想定したことがない、魔物は邪悪で人喰いだから殺す。
ただ、それだけだった。
「厄災と戦って生き残った、マーシャがどんな魔術師かわかる?」
「私の閲覧できる情報では今も生きている、魔術協会の監視下にある、危険な魔術師と言うことぐらいですね。」
「そんな魔術師にキースはいったい何を……」
「そんな事を悩んでいたのですか?」
モニカが私の顔を見て笑った。
「彼はね…実現させたんですよ、勇者を守れる魔術師になる、それは詰まり単騎で魔王級の敵と戦えるようになるという事……」
「何を言って……」
「勇者の最大の敵は魔王、ならば魔王と単騎で戦え無ければ勇者様を守れませんよね?」
馬鹿な!魔王と単騎で戦える魔術師などあり得ない!
「馬鹿げた話ですよね?勇者様の力になりたいと言う口だけの馬鹿は大勢いますが、彼はやり遂げたんですよ!昨日の戦いで確信しました!」
そんな魔王と単機で戦える程に強くなる。
才能や努力で何とかなるレベルじゃない!
「彼がどんな代償を払ったかはわかりませんが、恐らく貴方と似たような事でしょう…」
そんな…私何かの為に体を……
「強い駒が手に入って良かったですね」
「駒…だと!?」
ああ、人間に対して怒りを覚えるのはいつ以来か。
「冗談ですよ、初めて勇者じゃない顔を見ましたよ…」
「そう……」
「でも、彼は世界より貴方が大切です、貴方が逃げたいと言えば私を殺してでも逃げるしょう」
「逃げないし、キースはそんな事しないよ」
「貴方の言う事なら大概の事をすると思いますよ、抱いてといえば抱いてくれますよ彼?」
「か、誂わないで…こんな血塗れの女……」
私は柄にもなく赤面した。
魔王城周辺の樹海に異変が起きていた。
汎ゆる植物が季節、成長状態を無視して枯れ始めた。
それを魔王城のバルコニーから美しい魔族の女が見ていた。
「まさか!」
彼女はそう叫ぶとバルコニーから飛び降りた。
必死の形相で真っすぐ樹海の中心に向う。
「あら?スプライト…激励にきたくれたのかしら?」
枯れ果てた植物の中心には女がいた、魔族より人間に近い容姿でありながら、どこか異質だった。
「アルカノイド何故樹海を枯らした!」
魔王城を囲む樹海は防御壁であり、アルカノイドの担当だった。
「望まれたから…この世界の人類の絶滅を…これは進軍の準備、護りは貴方が居れば十分でしょう」
「私は聞いていないが?」
「魔王様から使い魔による伝達があった、貴方は自分の使命を全うしなさい……魔族だっていつ絶滅するかわからなのだから……」
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