第13話激戦

『くくっ、驚きで声も出せぬか…』

ハガは勇者達の驚いた様子を見て満足した、これからどうやって殺そうかと考えると興奮を抑えられず口から涎を垂らす。

しかし…一つだけ腑に落ち無いことがあった、目の前にいる人間は三人だと言うのにセンサーは二人だと示している。

インセクトロード形態は正確に、人の気配を把握出来るはずなのにだ。

ハガは深くは考えなかった、久方ぶりのバトルスタイルだったので多少の誤差と切り捨てた。

「月光!」

クーンが闘気技を放つがハガは敢えて受ける、月光はハガの右肩を切り裂く。

「この程度では儂には勝てんよ!」

瞬く間に傷口が修復された、もぞもぞと肉片が蠢いたと思ったらすぐに元に戻ったのだ。

ハガは口から溶解液を吐き出す!

勇者たちは交わしつつ、反撃をするが相手が大きすぎた。

傷を与えることは出来る、だが瞬時に回復される。

私はインセクトロードを観察する、この巨体だどこかに中枢、もしくは本体に類する物があるはず。

「ほう、魔術師か!」

ハガ呟く、インセクトロードの頭部がプラズマの格子で包まれる。

「トカマク!!」

キースが呪文を唱えると爆発が起こり、ハガの頭部が吹き飛ぶ。

「キース!」

キースが駆けつけてくれた。

頭部が無くなりインセクトロードの動きが止まる。

「中々やるな…小僧!」

頭部のない状態でハガは喋った。

私は焼けただれた首の辺りを見る、虫だ、無数の虫達は増殖し、失われた頭部を再構成する。

「だが、インセクトロードは個では無く、郡である、虫達の増殖を上回る威力でなければ倒せぬ!」 

最大の威力で聖剣を放てば消しされるが、威力を溜めてる時間がない。

クーンの斬撃で切り刻んだとしても、瞬時に傷は塞がり攻撃の手は止まらない。

どうする?

「キース!ハガを足止め出来る呪紋は!」

あの巨体を足止め出来る魔法、私も魔法学を学んだが通常の魔法系統にはない。

たが、彼の師匠は魔術協会から監視対象になる人物、キースになにか授けていればと思ったのだ。

「時間を稼いでくれ!魔力を練るのに時間がかかる」

「わかった!クーンと私で時間を稼ぐ!モニカはサポートを頼む!」

モニカは私達二人に身体能力アップの魔法をかける。

私達は剣と魔法で虫達を斃していく。

インセクトロード本体の攻撃も厄介だが、無数の虫達も攻撃してくる。

クーンは体を大分食い千切りれ全身から血をながしている、だが、彼女の剣技は衰えない。

『皆頼もしいな…』

私は素晴らしい仲間を持ったと思う。

背後でキースの魔力がどんどん高まって行く。

余りの魔力の高まり冷や汗をかく、馬鹿な!

キースに才能が無いというは、危険から遠ざける為の私のついた嘘だ。

初めてあった時から才能はあった、でもそれは並という意味だ。

今感じている魔力量は努力でどうこうなるレベルじゃない!

『まさかキースも私と似たようなことを……』


『虫達は勇者を人間と認識していない?』

虫達に人間を無差別に食べる用に指令を出しているのに、剣士の小娘には齧りついているが、虫達は勇者に無反応だ。

「勇者!貴様人……」

ハガが疑問を口にしようとした瞬間、インセクトロードの動き止まった。

『なんじゃ!高濃度の魔力が纏わりついておる!?』

「二人共離れろ!巻き込まれるぞ!」

キースが叫ぶ!私達はインセクトロードから距離をとる。

「ヘリカル!」

螺旋状の巨大火柱がインセクトロードを包みこんだ。

「ぐうう、これしきの事!」

ハガは脱出を試みるが、身動き取れず外皮が溶け始める。

ハガは無理やり虫を増殖させ耐えようとする。

「ダイナ!長くは持たない!」

「ああ、少し耐えてくれ!」

私は聖剣を構え力を高める、聖剣が光り輝く!

「シャインスパーク!」

聖剣から放たれる光の激流がイセンクトロードを包み込む。

「があぁぁー!?」

ハガは断末魔の叫びを上げた。

光が消えるとインセクトロードの巨大は消滅した、構成していた虫一匹残らずに。

勝った……四天王の一角を倒したのだ、人間に取って大きな一歩だ。

「キース!」

私はキースの方を見る、すると彼が倒れていた。

私は駆け寄り彼を抱き寄せる。

彼の体が熱い、意識もない!私が回復魔法をかけると彼は意識を取り戻した。

「勝ったなダイナ……」

「勝ったな…じゃない!キースの師匠は君に何をしたんだ…!」

「師匠に責任はねぇ……俺が無理を言ったんだ……護れる男に成りてぇって…」

「勇者様、クーンの治療が終わりました、キースの治療は私が引き継ぎましょう…」

モニカがクーンを連れ私の元にやってきた。

「大丈夫だ、魔力の使いすぎで倒れたんだ…私が本陣まで運ぶ……」

キースの師匠のマーシャ……調べる必要があるな。














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