王都へ至る道①

リュウドー、フユミ、キラリ、ナギオの四人は地方都市ザガリックを救った者達として歓迎されたが、支配されて余裕が無くなっていたため、大規模な宴はなく肉料理だけは贅沢だった。そこの料理店の村人の女店主は言う。


「新しいゴブリンは暴飲暴食ばかりでね、村が一つ、二つ滅ぼされる程、穀物や野菜は根こそぎ持ってかれたけど、肉は残っている」


そんな話をした。


「でも奴等は人里を越えようとしなかった、ドワーフの暮らす山里、鍛冶場というより工場都市になっていてね、工業剣こうぎょうけんが発明されて、それを安価に王都の兵隊に与えて富国強兵をしている、しかし、魔法に頼らない武具としては単なるソードだけではなくナイフ、クレイモア、バスタードソード、槍、メイス、大槌、ナックル、斧、片手斧、両手斧、そこを支配する五人の強者つわもの五鬼人ごきじんというのがいて、五師団、五団長、その上にドワーフの王ヴァルソグニル三世がいるから、それが西側を更に向こう側、南東に狼男達の盗賊団がある、東側にある漁村からは何日も魚を仕入れられなくなっているのが残念だ」


「そうですか」


フユミは長々と情報を聞き終えたが、それでも南東に行くことにした。狼男なら殺す。


デスゲームが終わって人助けのために魔族殺し、それが基本になってしまったのは事実。


「南東の狼男も倒してくれるかい?」


ボソッと女店主は彼等に伝えた。


「あぁいいぜ」


とリュウドーは言った。


「そこの漁村アルフヘッドから北東の不屈の暗黒街シェイドモア、速魔ジェイリード達も殺してくれ、暗殺者同士の乱戦が終わればこっちの街まで被害が出てしまうだろう」


リュウドーはそっちが先になるのかとうげぇとした表情をしたがキラリは違った。


「………試し……たい」


とか、言っていた。


ナギオについては肉料理をとことん貪るのに夢中で会話に入ってこれてないのが現状だ。


狼男、改造された犬の獣人コボルト、進化の系譜が逆転しているような気がするが闇魔法というのはとことんまでおぞましい。


フユミは女店主の目に怯えがあるのを見た、厄介事を全て抱えて欲しい相手がいるが、それに必要なのは暴虐だ。冒険者とかギルドには登録していないがそう見えてしまう。


そういうのは畏怖いふされる。クエストを成功できるだけの強さを持つという。


しかし、同時に二つというのはどういう事だろうか、手っ取り早くて助かるような気もする。


女店主は続ける。


「魔王はどこまでもおかしな宮廷道化師を雇った、それが魔族進化に繋がっている、人間だってまだ進化していないのにね、こういうので喜ぶのはダークエルフの部族ぐらいだ」




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