第15話 強さの証

魔族とは、人間であったものが、心の闇を抱え、醜い魔物へと姿を変えた

人間の成れの果てである。

その強さの証明とは、一体何だろうか。

膨大な魔力?圧倒的なパワー?皆を統一するカリスマ?それともすべてを魅了する美貌?

そのどれもが、とある物に比例する。

それは―――髪色だ。



『邪魔するなら、殺すよ』

アヤは頭の中で、その言葉と気迫を思い出す。

それをするだけでも、鳥肌が立ち、冷や汗が浮かぶ。

それを見たレイが、心配そうにアヤの頭を撫でた。

「大丈夫?」

「うん」

「それで」

ヒロが待ちくたびれたように口を開く。

「誰なんだよ。魔王様の代わりってのは」

「…ヒータ・レカリウル」

話を聞いた者全員が、驚いたように目を見開く。

「おいおい、そりゃあ魔王様が危険視してるあの紫髪の女じゃねーか」

「そんなに強いのかしら?」

ヒロとレイに詰め寄られながらも、アヤはコクリと小さく頷いた。

「多分、レイが全力で戦っても、負ける。イリは、魔法を発動する前に、死ぬ。

発動した、としても、無効化されて、やられる。攻撃パターンが、分かってるみたいに、攻撃に有効な、手段を使って、くる」

(すごい…アヤが長文を話してる…)

イリは話をそこまで聞いていなかった。どちらかというと、その長い文章を言えたアヤに成長を感じていた。

「あの人は、魔王様より、髪色が濃い」

「…え?」

イリが思わず目を見開く。

「どういうこと?そんなに濃いの?」

「うん」

人間が魔族になった時の魔力や筋力は、人間時代の髪色に比例する。

弱い順に白、茶色、灰色、黒、薄い紫、紫。

人間の頃は魔力が上昇するが、魔族になったら魔力が+1000された後は一切上昇しない。

そして人間の頃もまた、白い髪色の者は魔力が100以上にならないのだ。

このように、人間たちの知らぬ間に魔力というのは上限が決まっている。

「私も見たわ。ヒータ・レカリウルは髪色がかなり濃い。

実力がないと思っていたけれど…アヤが言うのなら、きっと実力があるのね」

アヤは人一倍、敵意に敏感だ。だからこそ、相手が自分をどう見ているかが分かる。

ヒータ・レカリウルは、自分のことを「倒せる敵」とみなしていた。

自分が四天王だとわかっていて、人間から見れば圧倒的実力差だと分かっていながら。

「きっと、次の命令は、ヒータ・レカリウルを殺せ、だと思う。

その時に、ヒータ・レカリウルに接触して、協力を頼むの」

「…わかったわ。協力する」

「俺はどっちでもいーけど…。まあ、面白そうだし参加してやるよ」

「イリはどうするの?」

「僕?」

イリはしばらく考えた後に、ちらりとレイを見る。

レイは真剣なまなざしをイリに向けていた。

「…わかった。参加するよ」

「!」

レイは嬉しそうに表情を緩めた。

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