第3話 攻略対象の王子様

転生してから1年、私は10歳になった。

学校に行くまで、あと2年。


私が通うこととなる、ヒカサキの舞台、セントエール学園は、勉強等最先端の物を取り扱っている。簡単に言ってしまうと、お貴族様学校だ。

そんな中、主人公レンは庶民の出でセントエール学園に通っている。

理由は簡単。レンが「光魔法」の使い手だからだ。

前にも説明したが、光と闇の属性は極端に少ない。

特に光は貴重で、回復や浄化がメインとなる。いざという時の、国の最後の切り札だ。

さらに、努力家で、優しいレンは、後に聖女と称される存在となる。

これは、Bat endを除いたルートでの確定した未来だ。

そんなレンが攻略する第一攻略対象は、ヒカサキが存在する国、ヒーラル王国の第一王子様「ヒーラル・ユーア」。

本来は優しい性格で、誰にでも気を許せる、表情豊かな好青年であり、カリスマ性あふれる王子様だ。

しかし、過去にあったとある出来事が、彼を無表情な人形のような性格に変えてしまっている。

その傷を癒し、ユーア王子の恋人となり、聖女となるのがNomal endだ。

一番王道なルートで、プレイヤーからの反応も「王子かわいい!」「やっぱこのルートが一番好きだわー」など、大変高評価。

各いう私も、このルートがお気に入りで、最初の頃は3回ほどプレイして

美人なユーア王子に癒されていた。

ついでに、その過去の出来事は、今はまだ起こっていない。

私が11歳…来年起こる予定だ。

そしてその出来事には、他でもない私がかかわっている。

「我ながらひどいことしたよな、あれ」

もし、少しでも私が転生する時期が遅れていたら

きっと手遅れだった。

そもそも、何かあった時に味方になってくれる存在が王族なら

私に何かあっても大丈夫だろう。

味方になってくれるかは、まだわからないけれど。

どっちみち、最初に救えそうで…いや、最初に私が救いたいのは

間違いなく「ユーア王子」なのだ。


ごめんなさい、では許されない、私が最初に起こしてしまった罪。

この世界では、絶対に、彼にあんなことをさせない。



彼に、彼自身の手で親友を殺させるなんて

絶対に、させない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る