バランと大司教
「魔愛の勇者?」
アリアがそう呟くと
「歴代最強の聖騎士であるフレデリカ様のご子息らしい。エレボス様は何が理由かはわからないがフレデリカ様から離れてな。今は世界を旅しているらしい」
おじさんがそう説明した
「それ大丈夫なんですか?」
「かなりヤバいな。フレデリカ様の息子なんて魔国が喉から手が出るほど欲しいだろうからな。エレボス様の命が危ない、、、ただ、新聞にもある通りエレボス様は国を一つ救ってるからな、、、案外大丈夫な気もしなくはない」
「な、なるほど、、、国一つ救ったんだ」
アリアはエレボスの凄さに感嘆する
「エレボス様とアリアちゃんは確か同い年だったな、、、孤児院暮らしじゃなくてもっといい環境だったらアリアちゃんも英雄になっていたかもしれないのにな」
そんなアリアを見ておじさんはそう残念そうにつぶやく
「私は世界の英雄になるよりも孤児院のお姉ちゃんの方が似合ってますから」
しかしアリアは今の生活が気に入っている様でそう笑顔で返した
「、、、そうだな。英雄なんて物騒な役目よりもお姉ちゃんのほうがアリアちゃんには似合ってるし俺達も安心できる!」
そしておじさんも嬉しそうにそう言うのであった
「そういえばそろそろ憤怒の鉄槌事件があった日になるな」
「憤怒の鉄槌事件、、、あー、あの憤怒の大罪司教が近くの町で行われていた町ぐるみの児童売春にブチぎれてその町一つ消し飛ばした事件ですよね」
「ああ」
「憤怒の大罪司教が動いて無ければ私達も舞い込まれてたのかと思うと複雑ですね」
(悪魔教団とその国アーデン魔国は世界を支配するために武力を振るう組織であり国家。大罪司教はそんな場所の最高幹部のお陰で助かるなんてね)
アリアは複雑そうな顔をする
「でも、あの事件の解決に院長も関わってたらしいぞ?」
「え?そうなんですか?」
アリアが驚いた顔をする
「ああ。なんでも最初に売春の気配に気が付いたのは院長らしい。その2か月後に事件が起こったから多分どこかで話していたところを聞かれたんだろうって裏話だ」
「へぇー!」
(院長凄い!)
アリアはそう院長に尊敬の念を飛ばすのであった
「クシュン」
「院長先生、風邪?」
「大丈夫?」
子供達がそう心配そうに院長に聞く
「大丈夫よ。アリアが私のことでも考えてたのよ。それよりも早く焼かないと」
そういうと院長は何かをかまどに入れた
「飾りつけももうすぐ終わるよ!」
「だったら後は掃除でもしましょう!手が空いた子はお願い!」
「「はい!」」
「よし!到着」
「相変わらずきれいな街だなー」
アリアとおじさんはバランの街に辿り着いた
「俺は当分この街に居るから何かあったら訪ねてくれ。それじゃー」
「ありがとう!!」
こうしてアリアとおじさんは別れた
「さて大教会に向かいますかね」
そして教会へ向けて歩き出した
「ん?アリアじゃねぇか!」
「おっと、爆発孤児様じゃないか!」
「引っ越しの下見か?」
街を歩いて居れば至る所からアリアへ声が投げかけられる
「誰が爆発孤児よ!引っ越しはする気ないよ」
そんな声にアリアがそう返す
「それならなんで来たんだ?」
「院長から手紙を大教会に届けるように頼まれたんです」
「あー、、、なるほどな。アリアは教会嫌いだからな、、、頑張れ」
アリアの目的に周囲の人間は同情の目を向ける
「司教はまだ良いんですよ。少し傲慢なだけで、、、問題は大司教ですよ、無駄に知恵が回るせいで私の上げ足を取ってきて、、、」
アリアはいらだった様子でそう言う
「はは。でも大司教様の賢さに何度も俺達は助けられたからな。飢饉とかも事前に防いだりできていたからな」
「一時期は悪魔の力で未来を知ってるんじゃないかって噂が立っていたからな。憤怒の鉄槌事件の後始末が決め手で大司教になったりしてるからな。丁度その時に前の大司教が亡くなったたこともあるが」
「悪魔術者だったらあの賢さも納得ですね」
アリアはそう言っていると
「悪魔術者が大司教だったら大問題ですね」
「っ!」
背後からそんな若い男の声が聞こえた
「「ビ、ビリアン大司教様!」」
その正体はバラン大教会の長であるビリアン大司教であった
「あー、お久しぶりです大司教様」
ビリアンを見てアリアは冷たい目線を向けながらそう呟いた
「ああ、久しぶりだなアリア。元気そうで何よりだ、、、それで?俺のことが大嫌いなアリアが何でここに?」
そんな冷たい目線にも慣れた様子でそう聞くと
「院長から手紙です」
アリアはそう言って手紙を渡した
「手紙?」
ビリアンは手紙を受け取るとその場で見る
「中身何なんですか?」
「、、、なるほどな。だったらどっちに転んでも問題なさそうだな。アリア教会に来てくれ。渡すものがある」
手紙を読んだビリアンはそう言った
「え゛?」
「そこまで重いものじゃないから帰りの邪魔にはならないはずだ、行くぞ」
「はいはい」
そうしてアリアとビリアンは教会へ行くのであった
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