第11話  高校生活が終わらない件


早く4月にならないかな!




「そろそろ4月なんだけど」


・・どうしてこうなった


「あはは、ごめんね」


入学式前に引っ越しも完了し、晴れて4月から新婚生活が始まる。そんな希望の月になるはずだった。


ちかちゃんは出席に数が足りなくて留年した。4月も高校生。


「おかしいな、ちゃんと計算したつもりなんだよ」


普通は計算して休まないです。


「ごめんんなさい」


力なくうなだれる彼女を見てはっとなる。

一番つらいのが誰かってことに。


ずっと俯いているちかちゃんの頬にそっと両手を添える。

視線を合わせると、彼女は涙目になっていた。


「大丈夫、一足先に行ってるだけだから」


「・・・うん」


「その間もいっぱい曲作ろう」


「うん、・・がんばる!」


これからの一年間。僕は1人で大学生になってしまう。


「僕が大学に入ったら一緒に住むんだよね」


「もちろん・・・あ」


でも大丈夫かなとか呟いてる。


「うち女子校なの知ってるよね。そういうとこ案外固くってね」


「いいよ、ならあと一年頑張ろう」

僕は君が来るまでもっと頑張る。


「君は追いかけてよ 僕のことを」


「待ってるんじゃないの?」それも良いんだけど


「いやでしょ。僕がなんにも変わらないのって」


「そうね。現状維持は後退って言うし」


「追いついたら全力で引っ張って上がるよ」


さあ。僕は彼女に向かい手を差し出す。


「うん!」


ようやく笑顔になった奥さんはやっぱりとても可愛かった。


「すぐ追いつくからね!」







「ところで卒業に何が足りなかったの?」 出席日数か、単位か。


「わたし帰国子女だから」


「知らなかった」


「まあ、言ってなかったし」


彼女は何でも無いかのようにそう言うと、明日は晴れるかなー晴れたら晴れたらすころりん。って酷い歌詞で歌ってた。アイスバーン怖いよね うん。


彼女にはまだまだ知らないことが多すぎた

それでも僕たちはここから始める。


「謎多き奥さんてかっこいいよね!」


はい、素敵です。


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