第10話 【悲報】彼女が一緒に住んでくれない!
それから暫くして入試が始まった。
僕は近くにある美大を受験する。
「推薦が通れば楽なんだけどね」
「それは枠狭い過ぎて厳しそうです」
ちかちゃんも同じ大学を受験する。
「希望の学科が丁度あったのよ」声楽は難しそうです。
「一応試験対策もやっていたから、大丈夫だとは思うけど」
「落ちたらあたしのとこに来なさい」
そう言ってニヤニヤするちかちゃんの元カノ。
「その時はお願いします」
そう言ったら、「うん、待ってる!」
と爽やかに微笑んだ。
どういう意図があるのか今は考えないでおく。
今の僕は目前に迫る試験のことで頭がいっぱいだった。
「今は頑張らなくちゃ」
2人の未来のために
*
「やっと終わった!」
「先輩試験お疲れ様です!」
「ありがとう!」
学校に報告に来たら、後輩ちゃんに捕まった。
「試験どうですか?」
「うん、それはもうバッチリ!」
「よかった!じゃあ4月からも会えますね!」
「え・・・どいうこと」
「だって先輩の学校、通り道ですよ」そうだけど・・・来るの?
確かにうちの高校と僕が通う大学は結構近い。
何ならお昼休みに行き来できるほど。歩いて行ける距離だ。
「・・・こないよね。」ははは
「まさか」ふふふ
余計なことは考えない。今は合格することだけを考えなくてはでないと・・・
*
それはありふれた夕食時に起きた。
入試が済んで、いつ引っ越しするのとちかちゃんに聞いたら、
「住まないよ」
「2人が大学に入学してから引っ越そうってことだったけど」
「初耳です」
「私達まだ未成年でしょ。だから親の言うことも聞かないとね」
「はいそれはそうなんですが」
「じゃあそれまではお預けなんですか!」
僕が賢明に力説しながら伸ばした手は、無常にも払い落とされた。ペシッて
「3月には結果発表あるから。 そしたら一緒に暮らそう!」
「はい!その時はよろしくお願いします!
「あーでもまだまだ先だよね」ちょっと寂しい
「だからこうして来てるでしょ?」はい。
そうでした。連日ちかちゃんは我が家に来ていたのだ。
「あとちょっとだからね!それまで我慢してて!」
頬に軽くキスされ何だか力がみなぎってきました。
我ながらちょろすぎです。
*
「あったわよ!」
掲示板の前の人だかり。
その中でひときわ可憐な姿が僕を見てそう叫んだ。
僕は一足遅れてそこに立つ。
目的の場所に僕の番号があった。
「よく覚えていたよね」ホント感心する
「ねえ、記念写真撮りたくない?」
いつの間にか僕たちの側には在校生のような女性が立っていた。
その人はニコニコしながらカメラを構えていた。
どうやら写真部のようで、合格者を片っ端から撮影との事だった。
その彼女は、ちかちゃんの隣で待機中。僕の返事待っていた。
「じゃあお願いします1」
「はい!」
番号が見えるように立ち、撮影してもらった。
「彼女さんもこの学校なんですか?」
「彼女じゃなくて奥さんです」
そう言ったら、
「リア充爆発しろ」と不穏当発言を繰り返した。
その割にはいつまでも撮り終わらなかった。
「何枚取るんですか」
「ごめんね!モデルが良いと捗って。これで終わるから」
そう言いながらも、結局撮影会は5分以上続いた。
*
「じゃあ、ネットにアップするから。見たいときはこっちのパス入力すればいいから」
そう言って、思い出したように僕たちを見て、
「ご入学おめでとうございます。4月からよろしくね!」元気にそういった。
はい よろしくおねがいします先輩。
早く4月にならないかな
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