第2話 僕と彼女の歪な関係
僕はそうして彼女の手を握っていた。
涙はもう流れていない。
大丈夫かなーっと手を離そうとした瞬間、ぐいって引っ張られ倒れ込んでしまった。 ・・・何も着ていない彼女の上に
「ごめん!」
「大丈夫だよ」
彼女は僕の背中に手を回しそっと抱きしめた。
「君もなかなか積極的だね。私はそういうとこ好きだよ」
そう言ってチュって僕の頬に口づけをする。 なんだ頬か
「なあに。別のとこが良かった?」別のとこって 僕は頬が赤くなるのを感じた。
「別にそんな事無いし」
「ないんだ」
からかわれているのは分かってるけど、とても心地が良かった。
その時僕のスマホがぶーんって音を立てた。誰からだろう 何だか息苦しくなってきた。
「大丈夫?苦しいの?」
彼女が僕の顔を覗き込みそう言った。
「ごめん。・・もう少しこのままで」
僕がそう言うと、
「わかった。ほんと君は可愛いね」そう言って彼女は何度も僕の頭を撫でてくれた。
いつの間にか音が止み 呼吸も楽になった。
「止んだね」
でも彼女の手は止まらなかった。
「・・ハゲになりそう」
僕がそう言ったら、ぷって笑ってくれた。
「そうしたら彼女もできなくなるかもね」
「ハゲだってモテるよきっと」
「そうね。もし持てなくていつまでも独りだったら、責任取ってあたしがお婿さん
にもらってあげるよ」
「約束だよ」
「ふふ。いいよ。本当にその時君に彼女がいなければね」
もう一度彼女を見たらまた口を襲われた。ちゅって
「・・・ねえ、僕たちの関係ってなんだろう」
彼女は綺麗な顎に手を当てて考え、「うーん、振られて慰め合うチチクリ同盟!」
なにそれ嫌すぎます。
「それそのままじゃない」
「そっかー」
そうです。
「じゃあ・・・死なないための保護同盟」 うわ直球過ぎて重い
「なんならいいのよ!」
「・・抜け駆け禁止同盟」
ああ、なるほど。先に逝かないことで抜け駆け禁止ね。
「それじゃあ、今夜は第一回の集会よ!」
「生きていることを証明しましょう」
明日を生きるために 今夜死なないように一緒にいよう。
こうして僕と彼女との歪な関係はスタートした。
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