私を満たしてくれるもの



 ある時


  詩と出会った。



 美しくも儚くて


  足掻いているようで、諦めているような……




 それは、心の旅の中で餓えていた私にとって



  あまりに眩しく見えた。




 この旅で感じた出来事を



  詩として綴ることが出来たなら



   きっと美しい物語になるだろう。




 そう思い 私は記録し始めた。




 心の旅で出会ったモノや得てきたモノ


  感じてきたその全てを書いた。




 初めは、餓えている現状ばかりを綴っていたが



  良い詩を求めて、心の叫びを聞いていたら



   少しずつ、書きたいことも分かってきた。





 ある時、道の途中で別の旅人に出会った。



 その人もまた、自分の心を歩んで来たのだろう。



 旅人は私の詩を見ると、


  何も言わず道を進んでいった。




 共感してくれたのか、あるいは呆れられたのか……




 だが、自分にとってはそんなことより


  ただ見てくれた事が嬉しかった。





 それからの私は


  誰かに見て貰うために詩を綴っていった。





 道の助けになりたかったのか、



  自分の歩んできた場所を知って欲しかったのか……



   それは今もよく分からない。




 だが、


  詩を書いて


   誰かにそれを読んで貰う度に


    私の餓えは消えていった。  




 やがて、


  多くの人に詩を見て貰えるようになっていき……




 気が付いた時には、




  私は満たされていた。




 詩を書く自分に酔っているのかも知れないし、



  すぐにまた渇いていくのもかも知れない。




 だが少なくとも



  今、私が満たされているのは



   この詩を見てくれている人達のお陰だ。




 “私を満たしてくれる者” 全てに



「ありがとう」




 私はただ、誰かに知って欲しかったのかも知れない。



 自分は此処に居るんだと。

 







……そして今、



 満たされた私の心は、その叫びを止めようとしている。




 しかし、どんな物語にもその後があるように



   私の旅もまだまだ続く。





 いつかまた

  旅の途中で



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私を満たしてくれるモノ @ver-Kairi

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