第2話

声をかけてきた女の子は同級生、クラスメイトなのだろうか、あまり女の子には興味がないもので、見覚えがない。

その子はおどおどした印象で「ああ、この子も出遅れたのか…。」と勝手に解釈をし、名前を聞こうと「名前は?」と返した。

彼女は俺が急に質問をしたから驚いたのだろうか、あまり受け答えをしない訳では無いのだが…。

そんな彼女の驚いた顔はすぐにおどおどとした印象で上書きされた。しかしすぐに返答は無い。

少し経って質問に沿っているとは思えない返答が返ってきた。

「えっと…名も無き少女、です。」

なにかの冗談だろうか、俺はまともに話しているようには思えず思わず聞き返した。

「冗談だろ?名も無き少女って。」

彼女はさっきとは違いすぐに返答が来た

「いえ、本当ですよ、佐々木君。」

冗談に近いものを本当と言われたことと、教えたはずもない名前を呼ばれたこと。

色んなことが重なり、俺は処理できなくなってしまった。

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