第15話 刀集めの僧兵
「さて、では街に帰るとするかのう。」
片付けも終わり、しぶるリーズを異世界に帰還させ、アラタと巴は街に帰る事にした。
「アラタ様、巴様、帰ってしまわれるのですね。また彼奴らが攻めてきた場合この首飾りでアラタ様に連絡いたします。」
「うむ紫殿、まあ当分攻めて来んとは思うが、先程話したようにそのネックレスには、わしのスキル【
紫は気絶から目覚めた後、巴や守備兵に全てを聞き、アラタと巴に深い感謝を示した。
守備への不安を表した紫に、
アラタは紫が付けていた首飾りにスキルを付与したのである。
「本当にアラタはデタラメね…
いったい、いくつスキル持ってるのよ。いちいち驚くのも馬鹿らしいわ。」
巴は呆れながらつぶやいている。
「それで?街に帰ってどうするの?アラタの力なら王にでもなれるし、他の国に攻める事も出来るでしょ。」
行きと同じように馬に【全能力向上】を使っているアラタへ、気持ちを確かめるように巴は投げかける。
「とりあえずそんな予定は無いのう。信長が善政を敷く限りは、同じ日本人同士争っても意味がなかろう。
最初の予定通り、人別帳と討伐者登録じゃな。その後はモンスターでも討伐しながらちゃんとした武器でも探したいのう。」
「そうね、普通の刀じゃアラタの力に耐えられないのは今回分かったしね。武器については心当たりあるよ!
とりあえずそんな強大な力をもつアラタが、あのチンギス・ハーンのような考えじゃなくて良かった。この力の差で嘘つく必要も無いしね。」
安心したのか巴はホッと胸を撫で下ろした。
「街についたら、その心当たりについて教えてくれたら助かるのう。」
高速で駆け出した馬の手網を握り、アラタが言う。
「任せて!とりあえず役所に戻ろう!」
振り落とされないようにアラタにしがみついた巴は、初めて出会った時のように笑った。
…
…
…
…
…
…
深夜のジパングの聖天堂で1人の男が目を覚ます。
男のまわりには刀や槍、薙刀など数多の武器がある。
その大男はむくりと起き上がり、まわりの武器を集め背中に背負う。
「…正統を示す力を… あの
ふらふらと聖天堂の出口を目指す大男は所どころ穴の空いた僧服を身にまとい、うつろな表情をしている。
出入口付近に人影が見える。夜中と言えど聖天堂は要所の為、守備兵が配置されている。
だが、この僧兵には守備兵が別の兵に見えたらしい。
「こんな所にまで、手が回っているか…!!おのれ、頼朝…! 誰のおかげでその地位についたと思っている!!」
目に憤怒の怒りを浮かべた大男は、そのまま聖天堂を守備していた兵を斬ると、夜の闇に消えていった。
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