第14話 蒼喰狼王
有り得ぬ!有り得ぬぞ!
儂の分身といえど一瞬で全滅だと…!?
かつての華国、今は新狼帝国の中心にある巨大な移動式住居の天幕でチンギスはつぶやく。
元々この場所に存在した何とか首席という者が居座っていた建物は、蒼狼に中身ごと全て飲み込ませた。
兵も民も掌握し、平伏させ華国とやらは新狼帝国へと変わった。
また今世も際限ない侵略を楽しみ、前の人生で築いた大帝国以上のものを作る予定だった
狼の王 チンギス・ハーンは
最初の侵略で
あのアラタとかいう童は 帝王の証でもある龍を召喚し、さらにその龍は神々しい姿と凄まじい力を持っていた。
その龍、
帝王とは、その童ただ1人だと言う。
認めぬ。認めぬ。認めぬ。認めぬ!
認めぬ!認めぬ!認めぬ!認めぬ!!!
「儂は馬と共に生きる民の帝王!! 蒼き狼!大ハーン、チンギスだ!!!!!儂が!儂こそが!帝王だ!!!」
チンギスの叫びは寒々しく天幕に響く。
周りの調度品を壊し、怒りをぶつける偽の帝王
いくら物を壊そうと、怒りとも焦燥感とも劣等感とも言えぬ感情は収まらない。
「
ぶつぶつとつぶやくが一向に何も思いつかない
仮に本体で戦った所で、どうなるか。
いくら強がっても彼我の力の差は、チンギス自信が充分に理解している。
答えの出ない問題に、ますます血が上へと昇る
そこに天幕の様子を伺っていた兵が、勇気を振り絞り声をかける。
「大ハーン、チンギス陛下。英雄が出現しました。さらに出現した英雄を捕縛しております。
如何致しましょうか?」
「今はそんなものにかかずらっておる暇はない!!!適当に首でも跳ねておけ!!」
天幕からチンギスは怒声を飛ばす。
「は…ハッ!承知致しました!」
余りの剣幕に兵は怯え、声を上ずらせながら
指示に従い首をはねようと、来た道を引き返そうとした。
「待て!!!」
チンギスが兵を止める。
チンギスは自信の内側に違和感を感じた。
その違和感の正体を探り、答えが分かると嬉しそうに笑い出す。
「ククク…。スキルが増えておるでは無いか…
【悪徳賛歌】か、確か蒼狼に食わせたあの肥え太った豚のスキルだな…。
儂はやはり帝王よ。喰らえば喰らうほど強大な狼となる。」
チンギスのスキル 【
草原の王、大ハーン・チンギスはいつもの落ち着きを取り戻し、天幕の外で動揺している兵士に告げる。
「英雄を連れてまいれ。食事の時間だ。」
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