第7話 董卓の享楽

董卓は必死に考えていた。


あのチンギスは人外の化け物だ。逆らえば命はない。


だが殺さねば、とてもでは無いが枕を高くして寝られはしない。


まずは昔自分がやったように帝として擁立ようりつし宰相として権勢をふるうか…?


そうやって取り入るうちに殺す手がかりもつかめるだろう。


そのためにもまずは手柄を立てねばならん。


なのにこの関所は、薄らと光る不思議な力で守られている。

その薄らと光る不思議な力は亀の甲羅のように膜を張り、何度矢をつがえようと壊すどころかヒビも入らん。


狼の化け物どもも手を貸すそぶりもなく道中の民をいたぶる命令しか聞かなかった。

それどころか時折こちらの様子を見ている。


チッ、監視のつもりか。


このままおめおめと何も出来ずに帰ればそれこそ、この化け物どもに殺されてしまう。


進展がないまま攻撃を続けていると、兵の一人が駆け寄ってきた。


「董卓様!どうやらあの不思議な力は城壁の上にいる女が使っているスキルのようです!」


報告を受け城壁を見る 確かに美しい女が何やらうたっている。


「読めたぞ、あの女の声か歌にまつわるスキルか。」


ニヤリと董卓は口角をあげる。


ならば簡単だ。歌えなくなるまで攻めかければいい。

そうだ恐怖を与えるために蛮族の民を一人ずつ目の前で殺してやろう。

その光景を目の当たりにして動揺し、どこか攻めれるように弱れば良し、声が出なくなればなお良い。


そうと決まれば見せしめの蛮族の民をどうやって殺すか…

体中を矢で射かけるのもよい…狼の物の怪どもに食わせるのもよい。


望外の化け物、チンギスの出現に不機嫌だった董卓は小さな楽しみが出来た事に、途端に上機嫌となる。


「せいぜい頑張るがよい、2日でも3日でも楽しみながら声がかれるのを待つことにするぞ。」


壁上の女は蛮族のくせに美しかった。そうだ、力尽きた際は俺が飼ってやろう。


チンギスにはそこらの蛮族を奴隷として連れ帰り、あてがえば文句もなかろう。


さらに楽しみが増えた董卓は抑えきれず下卑た笑い声を漏らす

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