第3話 ロールプレイ

 

 十八番エースくんが、担任に呼ばれ職員室に向かう為に教室を出ると、待ってましたとばかりに三人が寄って来た。


「なあ、アンタ ! 十八番のこと好きなんか ? 」


 ストレートに聞いてくる右京に面食らうってしまう。


「それは、ウチも気になるちゃ !

 ダーリンはウチだけのダーリンだっちゃ !

 光は男と興味無いと思っていたのに裏切られたっちゃ ! 」


 幼なじみで煎餅屋のネイが喰い付いてきた。


「私からも質問。 ネイの話し方、誰の影響なの ?

  昔は普通に話していたよね 」


  ネイは恥ずかしそうに頬をかきながら、


「従兄弟のカズマお兄ちゃんが『〖うる🌟やつら〗のラムちゃんが嫌いな男などいない、むしろ大好物に決まっている ! 』とアドバイスをしてくれたから、一生懸命に練習したんだちゃ ! 」


 あの穀潰ごくつぶしのヒキニートめ、余計な知識を教えやがって !


「あらあら、まあまあ、そんな理由がありましたのね 」

 アイスクリーム屋の真雪が納得したように頷いている。


「ネイ、それロールプレイって言って恥ずかしいんよ 」

 教えてあげるもネイは、ケロッ としている。

 確かに、男連中には受けが良いようだ。


 だいたい、コイツらは大和撫子とは程遠い奴等だ。


 この間だって周りに人が居るのに……


 ─── 回想 ───



「朝から、何を悩んでいるんや ?

 ウチの特性お好み焼きをあげるわ !」


「右京ちゃん。 朝から、お好み焼きなんて重いでしょ !

 わたしのクレープをあげますわ !」


 お好み焼き屋の看板娘 右京。

 アイスクリーム屋の看板娘 真雪たちが、十八番の両手を掴んで離さない。


 右京は、魔女見習い。


 真雪は、ハーフ雪女。


 そして……

「二人ともダーリンから離れるちゃ !

 ダーリンはウチだけのダーリンなんだちゃ !」


 空から雷神様の娘 ネイが飛んできた。

 とたんに、三人娘は姦かしましく騒ぎ始めている。


 そういうアタシは、とある妖怪のクォーターなんだけどね。


 アタシの通う学校は、人間と妖怪やアヤアシの共学の学園なのである。


 何故か、であるはずの十八番くんに、みんな妖怪、アヤアシが夢中に成っている。


 アタシはお爺様から頂いた御守りを握りしめていた。


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