第5章
惚れ薬について
飲むと、相手を見つめた時や声を聴いたとき、相手のことを想った時などに得られる『多幸感』が通常の数倍になる薬である。シリルが飲んだ惚れ薬は『聖女の奇跡』により、その効果がさらに高められている。
いわゆる媚薬のような興奮作用はない。加えて、効果があるのは『多幸感』のみであるため、そもそも多幸感を得られない相手、即ち嫌っている相手に対して惚れ薬を使用しても効果はない。ただし、相手が好意さえ持っていれば、それが『部下として』『妹として』であっても、異性として好意を持つようになる。
種族を問わず男性であればだれでも効果はあるが、女性には効果がない。また、その効果の持続時間については研究が進んでいない。エルフ相手であれば10年程度持つが、人間に対してはどれほど持つかは未知数とされている。
女性が意中の男性に対してこっそりと仕込む使用法が一般的であり、シリルのように『惚れ薬を飲んだと自覚している状態』になることは珍しい。この場合は『惚れ薬を飲ませてでも結婚したいと想われている』と言う事実や『惚れ薬がまだ効いている』と言う思い込み自体が恋愛にも作用する。
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