第28話 世界か彼か

 ちゃんと『ハッピーエンド』で締めますので、ご安心ください(^-^ゞ


 ◆ ◆ ◆


「は……? アンタ、大丈夫……(?_?)」


 私ははるかの奇天烈な発言に、唖然となった。毎回この娘は、やること為すこと『気紛れ』だ。


「自覚がないなんてね。歪みは貴女を胚胎はいたいに、今も・・『成長』してるわ。いつかさなぎを破り、蝶は舞うのよ。貴女が今までやってた事は、丸っきり『逆効果』だったわけ」


「それこそ下衆の勘繰りだな。証拠はあるのか?」


「巫女には『神通力じんずうりき』があるのよ。世界の『危難』に備えてね。それにあなただって、人のことは言えないわ。内に『魔王の因子』を持つあなたは、大方『虚無』で滅びた後に地上を支配するんでしょう?」


「よくもまぁ、そんだけ『誇大妄想』を広げられるね?」


「そう思いたければ、好きにするといいわ。ただしコレ・・を見ても、まだそんな悠長なことが言えるかしら?」


 瑤がドヤ顔で、水晶玉を私たちに突きつけた。そこに写された映像には……


「「これは……!」」


 どこかの山だろうか? そこには、稠密ちゅうみつに階段を埋め尽くした怪しい集団がいた。各々、一心不乱に何かを唱えている。


 その本山の頂点には、仮面を被った怪しげな男(?)の姿が……あれって、まさか!?


「ジョルジュ……!?」


「ご名答。まぁバレバレだけどね。彼は今『信者』をかき集めて、“敵”に備えているわ。世界の均衡を保ち、救世主メシアになるのよ」


 『救世主』って、なによソレ……!?


「バカな……あの愚兄は何を考えている!? そもそも奴に、あんな『影響力』などあるのか!?」


「あなたの所為せいでもあるのよ? ジョルジュは、ずっと有能な『弟』の影に甘んじてた。今こそ世界を救い、“唯一無二”の存在になるってね」


「アンタらは……結局、何がしたいのよ!?」


「決まってるでしょ? 信者が集まり次第、貴女の街に『総攻撃』を仕掛けるわ。せいぜい準備を怠らないことね。もっとも、王国の10倍の戦力はあるけどね」


 なっ……一方的な『宣戦布告』に、私は言葉が出なかった。


「……正気か? 何故、わざわざ事を荒立てる!?」


「世界を救うには、“多少の犠牲”はやむ無しよ。防ぎたいなら、貴女の街から北にある『総本山』に来なさい。そこで『決着』をつけましょう。『世界か彼か・・』……よく選ぶことね」


 言いたいことだけ言って、瑤はふと消えた。どうやら元々、魔道具を使った立体映像ホログラムだったみたい。



 私は目眩がして、彼に支えられた。せっかく彼と『両想い』になれたのに、私の存在がこの世界を脅威に晒してる……。

 やっぱり私たちは、“結ばれない”運命なの……? でも私の『エゴ』で、街の人たちを危険に晒すわけにはいかない。



 世界か彼かなんて…………私には『選べない』よ。

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