第26話 ずっと離したくない

 応援、☆評価、誠にありがとうございます(^-^ゞ


 ◆ ◆ ◆


――王国が崩壊してから、本格的な『町作り』が始まった。


 町長さんがメインとなり、王国からの難民を少しずつ受け入れていった。まだ町の外には、野宿してる人が多い。

 そこで私が食料品やテントなどを作り、ジョッシュと手分けして配ったら大変感謝された(^^)v


 幸いこの辺は土地が広いので、男性陣を中心に開拓してもらった。ジョッシュを中心に元王国兵が大活躍だね^^

 農業はお爺さんのノウハウが活きて、一気に効率化した。若手なんか、お爺さんに弟子入りを志願してる。


 私は女将さんやロゼちゃんと一緒に手料理で、

疲れて帰ってきた男性陣の胃袋を支えた。ちょっとしたケガも薬草で治り、町は日に日に大きくなった。



 そして、ついに……



「皆様。本日はお日柄もよく、街の新たな門出には持ってこいです。ご存知の通り、この町は歪みで消滅の危機に瀕してました。ですが、巫女様がこの町を救い率先して皆を引っ張り、ここまで発展させてくれたのですっ」


 町のみんなが私に注目する。今さらだけど、なんか恥ずかしいなぁ(*ノ▽ノ)


「巫女様に最大限の感謝をしつつ、ここに宣言します! 生まれ変わったこの街を『ユウナタウン』と命名することを!」


――パチパチパチパチッ!


 街全体から、拍手が木霊した。えぇ!? ユウナタウンって、私の名前が入ってる!?(*゜Д゜*)


「巫女様! 歪みをなくしてくれて、ありがとうございます!」

「私たちの『日常』を取り戻してくれて、本当に感謝してます!」

「ユウナタウン誕生、万歳っ!」


 惜しみない拍手と歓声。ユウナタウンは、王国に遜色そんしょくない街となった。その日は『記念日』となり、一日中お祝いだった。


 その晩も宿屋で、盛大なパーティーが開かれた。ちょうど改築を終えて、宿屋はお城みたいなホテルとなり、今じゃ街のシンボルだ。

 私は女将さんが、腕にりを掛けたフルコースに舌鼓したつづみを打った。


「いやぁ今日はめでたい日じゃ。長生きはするもんじゃのぅ」

「老い先短い私たちに、新たな『生き甲斐』が出来たしねぇ」


……というと?


「もちろん、ユウナの活躍を後世に語り継ぐことだよ。これから・・・もよろしく頼むね、ユウナ」


「そう……ですね」


 私はお婆さんに、曖昧あいまいな返事をした。これからも……か。



 ◇ ◇ ◇


 私はホテルの屋上にいた。満点の星がすごく綺麗で、ユウナタウンの誕生を祝福してるように見えた。


「ユウナ」


 振り向くと、ジョッシュの姿。


「ここに居たのか。姿が見えなくなったから探したぞ」


「あー……ゴメン、ちょっと風に当たりたくてね。なんだか不思議だよね。『普通』の女子高校生だった私が、こんな立派な街の中心になるなんて……」


 私は誤魔化すように、言葉を濁した。風がなびき、しばしの沈黙。


「……なぁユウナ。俺の勘違いなら悪いが、ユウナは『迷ってる』んじゃないか?」


 え……? それって、どういう……


「歪みの問題が解決して、王国に代わる街もできた。つまり、何が言いたいかって言うとだな……もうユウナが、“こっち”に留まる『理由』がなくなったってことだ」


…………っ! ジョッシュは私の『迷い』を、正確ピンポイントに当てた。


「それは……まだ分からないよ。還る方法も見つけてないしね……」


 私はそう答えるしかなかった。けれども……もし、還らなきゃいけなくなったら……

 ズキン……と胸が痛んだ。その時は、ジョッシュとも『お別れ』だ。『もう二度と』会えないかもしれない。


 私は…………『どうしたいん』だろう……?


 そんな私をジョッシュは、後ろから優しく抱き締めた。


 ……………………ぁ……………………



「俺は……ユウナが居なくなるのは『イヤ』だ」


 …………やめて。私だって『イヤ』だよ……。


 ギュッ……


 自然と彼の抱き締める力が強くなる。そして……



「俺、ユウナが『好き』なんだ。『ずっと』離したくない」

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