第25話 『未練』

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 ◆ ◆ ◆


 歪みの問題を解決して、町に戻ってきた私たちは驚いた。いつの間にか城壁が出来てて、立派な門まであった。

 どうやら私たちが留守中に、以前助けた兵士さんらが万全に警備してたみたい。


「あっ! お姉ちゃん、お帰りっ」


 すっかり元気になったロゼちゃんが、私たちを出迎えてくれた。


「ただいまロゼちゃん。今日もお手伝いして偉いね」

「うん! お爺ちゃんたちが来てるから、頑張ってるよ!」


 え? 山奥のお爺さんたち来てるの? まだお礼を言えてなかったんだよねぇ。


 宿屋に戻る途中も、町は『変化』していた。以前は殺風景だったけど、道なんかきれいに整備されてたし、街路樹も植えられ見映えも良くなったね^^


 私の『第二の家』とも言える宿屋に戻ると、ラウンジでお爺さんらが町長さんと談笑していた。


「おぉユウナ、久し振りじゃのぅ!」

「しばらく見ないうち、たくましくなったねぇ」


「お爺さん、それにお婆さん!」


 私はお爺さんらとの再会を喜んだ。


「ジョッシュという者だ。ユウナの命の恩人だと聞いている。その節は、大変世話になった。深く感謝する」


 ジョッシュは不器用ながらも、お爺さんらにお礼を述べた。


「礼を言うのは、ワシらの方じゃ。難病の孫娘を救ってくれて、本当に有難い。長生きはするもんじゃ」

「おまけに、こんなしっかりした子を捕まえるなんて。ユウナは、いい『お嫁さん』になるだろうねぇ」


 へ……? お嫁さんって、やだお婆さん:*(〃∇〃)*: 私はニヤけるのを、必死に堪えた。


「と……ところで、お爺さんらはなんでこの町に?」

「ウム。婆さんらと二人で農作業をしておったが、そろそろ体力的にキツくてのぅ。娘夫婦が住んどる、この町に世話になろうと思う」


 確かに重労働だったもんねぇ。それにお爺さんなら、若手に農業のノウハウを伝えられるし。


「この町も最近、人口が急増しまして。王国から、流れてくる人が多いです。……ここだけの話、大臣が『反乱』を起こし、崩壊したとか。国王と大臣は共倒れ。皇太子と光の巫女は、巻き込まれて亡くなったとか……」


 え……? それは寝耳に水だよ。あの大臣、忠実そうに見えて野心家だったんだねぇ……。

 それに瑤らも、そう簡単に『退場』するとは思えないしなぁ……(´・ω・`)



「王国が……崩壊した……?」

「ジョッシュ……」


 町長さんらには、ジョッシュの身元は伏せている。余計な心配をさせたくないしね。


「そこでお義父さんと色々と話し合った結果、ここを王国に代わる町にしようと思います。差出がましようですが、ユウナさんらにも是非協力をお願いしたいのです」


 ここが王国の代わり……!? なんか一気にスケールが大きくなったね(; ゜ ロ゜)  そりゃ私に出来ることなら、惜しみなく手伝うけど。


「……悪いが、少し考えさせてくれ」

「あっ、ジョッシュ……!」


 席を外すジョッシュを、私は慌てて追いかけた。



 ◇ ◇ ◇


「ジョッシュ……! こんな所にいたのね? もぅ急にいなくなることないじゃん!」

「悪い……俺の中で整理が出来なくてな。いずれこうなると薄々感じてたが、俺にとって『祖国』には変わらない……」


 そっか……無理もないよ。


「それにユウナは、この町の人たちと『固い絆』で結ばれてるんだな。俺たちは長年、骨肉相食あいはんでいたのに……」

「……気持ちは解るよ。私も追放された直後はすごくショックだったし、正直よく立ち直れたと思うよ」


……それが身内に裏切られたとなると、尚更だよね。


「……女々しいと思うかもしれんが、俺は君を羨ましく思う。俺とジョルジュは、どこで道を誤ったんだろうな……」


 私は黙って、そっとジョッシュの肩に手を置いた。


「ユウナ……?」


「大丈夫だよ、ジョッシュ。『やり直せない』ことなんてない。『ここから』また歩み出せばいいんだよ、あなた自身の『道』を」


 ジョッシュは「……ぁ……」と、小さく呟いた。やがて、私の手を優しく握り返した。……そんなに熱い視線を送られたら、ドキドキするよぉ(*´ェ`*)


「フッ……そうだな。君を護ると誓った俺が、ヘタレてる場合じゃない。新たな町作り、俺も喜んで協力しよう」


 よかった……いつものジョッシュに戻ってくれて。となると、後は瑤らだね。まぁ今さら、どこで何をしてようと露ほども興味がないね。私たちの邪魔さえしなければ。


 これ、最初にあの娘はるかが言ってたことね。ねぇねぇ瑤さん、今どんな気持ち?

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