第17話 戦略的撤退?(ざまぁ回)

「やれやれ……何を言い出すかと思ったら。取るに足らない小物ね」


「ハッ! ニンゲン風情が吠えるじゃねーかッ! 後悔しろやッ」


 魔族がはるかに火球を放つ! 瑤は微動だにせず、手を前にかざした。光の障壁で、火球が反射される。ジョッシュを狙ったんだろうけど、直前でかわされた。


――ドゴォオオオオンッッ!!


 火球はジョルジュに直撃した。勢いでふっ飛び、自分らが乗ってきた馬車を粉砕した。


「……っ!? ちょっとジョルジュ、ちゃんと避けなさいなっ!」


 いやいや、アンタがね返したんでしょ(-。-;) これで瑤らは、歩いて帰るしかなくなった。十日間、頑張ってねぇ(^_^)/~~


「ハズしたか、まーイイ。オレ様は、お前らに用があるンだからヨ」


 え? なんでこっちを見てるの?? 私もジョッシュも、あんなのなんて知らないって。


「ど……どういう意味なの?」


「分からねーか? お前らは、魔族オレらと『似た』オーラを出してンだよ。魔族は先の大戦で、大部分の勢力を失った。まずは『お仲間』集めをしてるってワケよ」


「下らんな」


 ジョッシュが一蹴した。


「俺たちに下衆の知り合いなどいないし、与太話に付き合うつもりもない」

「ジョッシュの言う通りだよ! って、どこ行くのよ瑤っ」


 どさくさに紛れて、瑤は颯爽さっそうと去っていく。


「興が削がれたから帰るわ。アレは貴女たちに用があるみたいだし、これは『戦略的撤退』よ」


 ハァ? 好き勝手やっておいて、よく言えるね(`Δ´) ドシンッ! 魔族が地上に降りて、瑤の追跡を断念するしかなかった。


「チッ! どうせなら、破落戸ゴロツキ同士で潰し合えばいいのにな。そう上手くはいかんか」


「ケッ、どいつもコイツも舐めヤガって。魔族の恐ろしさを見せてヤル。こんな小さな町ナド、一蹴で消しトバせるぞッ」


 なっ……!? 唐突過ぎない? なんか本当にやりかねないし! お願い、やめて……!


 私がまた強く『願う』と……


「グハハハハッ、お前らまとめて死ねぇ!!」


 魔族はその場で、派手に万歳する。


 シーン……何も起こらない。瞬時にジョッシュが、魔族の首をねた。


「……………………アレ?」


「どうした? 何かするんじゃなかったのか? って、もう遅いか」


 ゴトリと落ちる首。魔族はこの状態でも、まだ生きてた。なんか気味が悪いよぉ(*_*)


「クソぉ…次期魔王のオレ様がァ。まさかその女……オレ達が探してる『闇の……』なのか?」


「ご託はいい。消えろ」


 魔族は粒子となり、跡形もなく消滅した。とりあえず、一安心だね(*´-`)



「やめなさいっ、私を誰だと思ってるの!?」


 何やら町の入口が騒がしい。向かってみると、瑤が村人に囲まれ投石や生卵、さらに家畜のフンまで投げられてた。

 逃げようとしたところ、町の人たちに捕まったみたい。障壁を張ろうにも、牛や鶏にまとわりつかれてる。


「何が光の巫女だっ、二度と来るな!」

「下手に出てりゃ、ツケ上がりやがって! 庶民を舐めるなっ」

「誰か塩持ってこい! 悪霊退散だっ」


 踏んだり蹴ったりだねぇ。まぁ日頃の行いが悪いから仕方ないか┐( ̄ヘ ̄)┌


「なんという屈辱かしら……! 星見 結愛っ、この借りは『いずれ』返すわ、必ず……!」


 あれ? 何気に初めて『名前』を呼ばれた……? ジョルジュが「ハルカよ、待ってくれぃ」とパンツ一丁(°Д°)で、服を抱えながら後に続いたε≡≡( ´Д`)


 二人は町の外でも落とし穴にまり、上から肥溜めを被せられ、蜂を仕掛けられるなど散々だ。どうやったら、そこまで恨みを買われるかなぁ……(-∀-)


 とにかく私もスッキリしたよ。出来れば、二度と会いたくないけどね。ん? 気づいたら私は、町の人たちに囲まれていた。


「巫女様っ、偽物は逃げ帰りました!」

「え……? ですから、私は巫女じゃ……」


「流石は巫女様っ、魔族も退治されるとは!」

「二度も、この町を救っていただけるとは!」

「いくら感謝しても、足りないくらいです!」


 私を中心に『万歳三唱』が起こる。なんか誤解してるけど、みんなに笑顔が戻ったからいっか(´▽`)

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