第13話 『真の力』

 私はジョッシュから、一通りの話を聞き終えた。要約すると、彼は元々アーグル王国の皇位継承者だった。


 けど、父親の国王と兄のジョルジュは、ジョッシュが皇位を継ぐのを快く思わず、長兄ちょうけいのジョルジュに継承つがせたかったみたい。


 ジョッシュは、王国ぐるみの『謀略』に嵌められた。寄ってたかって弱い者イジメするなんて、本当にロクでもない王国だよ(`Δ´)


 継承決定の日にジョッシュは、国王に毒を盛って暗殺しようとした疑いを掛けられた。

 けど、これは大臣が事前に用意したもので、ジョッシュは衛兵に捕まりそうになったけど、抵抗して王国を出奔しゅっぽん


 そのまま『テロリスト』扱いされ、王国を放逐された。なんか私と境遇がそっくりだね……(_ _)


「で……でも、何も追い出すことはなかったんじゃないの?」


「兄は昔から『劣等感コンプレックス』の塊でな。文武の面で、俺の方が優れているのが気に入らなかったみたいだ。それにあの王国は、気に入らない者はことごとく排斥してきた。そうやって、体制を維持してきたんだよ」


 成程……思い返せば、確かにヘンな人しかいなかったもんね。


「それより君だ。ユウナ……だったか? ジョルジュを知っているという事は、王国の関係者だったんだろ? 今度は君が話す番だ」


……やっぱり、そうなるよねぇ。私は包み隠さず、これまでの経緯をジョッシュに話した。



「成程……大体、分かった。だが妙だな……」

「へ? 妙って何が……?」


「自分で分からないのか? さっきの君の『能力』だ。光の巫女とやらは直接見てないから分からんが、君の能力は明らかに『異質』だ」


……いや、急にそんなことを言われましても(゜゜;)


「異質って……でも適性検査で、鑑定スキルしか使えないってハッキリ言われたんだよ?」

「鑑定スキル……だと? それは確かなのか?」


 ジョッシュは眉をひそめた。私、なんかヘンなことでも言ったかな?


「ホントだって。鑑定スキルって相手の行動を読んだり、事前に危険を察知できるんだよね?」

「それのどこが鑑定だ? 聞いたことすらないぞ」


 ジョッシュは、さぞ驚いてた。なんか私が使ってるのとは、全然違うみたい。しばらく、アゴに手を当てて考えこんだ。


「……これは俺の推測なんだが、ユウナ。君には鑑定の他に・・『真の力』があるんじゃないか?」


 え……? 真の力って、何それ……(-ω-?)


「君が俺の腕に触れた途端、傷はきれいサッパリなくなった・・・・・。『治した』というより、“リセット”に近いな」


 リセット……? 首を傾げる私に、ジョッシュは続けた。



「恐らく鑑定スキルは、偽装カモフラージュだ。真の力を隠す為のな。適性検査も、君の『本来の力』が打ち消したんだろう。これなら筋が通る」



 

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