第99話三洋商事ゴルフ大会その1
俊哉と浩一郎の勤める三洋商事にはゴルフ大会が
「まあほとんど練習してないしな」
俊哉、加奈子、彩は応援のために参加している。
「まさか涼子がゴルフを始めたのは意外ね」
加奈子が言った。涼子はゴルフウエアに身を包んで3人と話をしている。
「ゴルフって楽しいよ」
涼子はそう言って行ってしまった。
「浩一郎さんも参加するのよね」
彩が言うと俊哉が答えた。
「うん、参加するだけであまり期待していないみたい」
「営業部はゴルフ必須だけどまだ私はやる気にはなれないわ」
加奈子はそう言った。営業部でのゴルフ接待は慣習だからいずれ加奈子もゴルフを始めなければならない。涼子のプレイを見て決めるつもりだ。全員が集合して会長の挨拶が始まった。
「さあみんな、お楽しみのゴルフ大会の始まりです。全コース貸し切りだからゆっくりとプレイに集中してください。豪華景品もあるので頑張ってください」
優勝は30万円分のデパート共通商品券だ。参加者もやる気が出る。
「私達は涼子の応援ね。俊哉はどうする?」
「浩一郎さんは涼子の応援をしてあげなって言ってたから涼子の応援組よ」
規模の大きな大会なので7時の大会開始になる。どんどん社員がプレイする。涼子の順番になった。
「涼子、頑張って!」
3人の声援に笑顔で答えた涼子はコースに立った。優勝を目指す人、プレイを楽しむ人、皆それぞれだ。
「ナイスショット!」
涼子のボールは真っ直ぐ飛んでいく。素晴らしいショット。三ツ谷会長も感心していた。
「まあまあかな」
涼子はそう言ってピンを拾った。グループはもちろん複数あるのでコースを早く回らないと最終グループが遅くなってしまう。しかし段取りの良いプレイでどんどんプレイが進む。参加者も手慣れたものだ。
「涼子、1ホールバーディだって」
「あの子、初心者でしょ、凄すぎない?」
「仕事終わりには必ず打ちっぱなしに通っているそうよ」
俊哉達は涼子の活躍を褒めていた。
「ふむ、涼子君は素晴らしいプレーヤーだな」
三ツ谷会長は涼子のプレイに感心していた。
「癖も無いしボールコントロールも最高の出来だ。私も負けていられない」
このコースは毎年三洋商事の貸し切りで、会長はコースを熟知している。社員達にとっても慣れたコースだった。大会で優勝するためにこっそりとこのコースを利用する社員も居ると言う。
「1位は涼子よ」
電子掲示板に成績が表示される。バーディを順調に出す涼子はアンダーの成績を維持している。それに引き続いて会長が猛追している。
「涼子も凄いけど会長もあの歳で凄いよね」
「これは涼子と会長の戦いよね」
涼子はパッティングでも技術の高さを見せた。1ショットで決めてしまう。涼子はグリーンを読むのが好きなのだ。3人は静かに見守った。
「涼子、凄い集中力。パターも抜群」
加奈子は静かに喋った。
「プレイに没頭しているよね」
涼子は真剣な顔でコースに挑んでいる。実は数度、こっそりと1人でコースを回っていたのだった。だからコースの癖も熟知していた。
「この大会、私が優勝よ」
涼子は揺るぎない自信を持っていた。
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