第89話涼子、ゴルフにハマる
涼子は打ちっぱなしに来ている。スイングは教室で教わったばかりだが、レンタルでは気に食わない。早速買いにゴルフ専門店に行った。
「お客様。クラブをお探しですか」
涼子は初心者である事、左利きである事を伝えると店員は案内してくれた。
「ご予算はおいくらくらいでしょうか」
涼子は安物買いの銭失いを何回も経験しているので予算は決めていない。店員のお勧めを聞いてみた。
「女性のレフティーならこちらのセットはいかがでしょうか」
手にしてみると教室のレンタルより軽い。
「このお値段は長く使えるものですか」
「ゴルフを続けるとどうしてもこだわりが生まれてきますこのグレードならある程度のレベルまで愛用できるかと思います」
なるほど、と涼子は納得した。まずはこれを買おう。しかしゴルフ用品は必要な物が多くて大変だ。案内してくれた店員にゴルフ用品で最低限必要な物を揃えたいと告げると丁寧に対応してくれた。ゴルフバッグ、シューズ、グラブ、ウエア。結構な買い物になったが涼子は形から入るタイプなのであまり気にならない。一気に買った。
「久しぶりに買い物欲が無くなったわ」
宅急便で送られてくる品物と持って帰れるものは持って帰って来た。ウェアなどである。試着してみた。動きやすいストレッチ素材で機能的だ。グラブをはめてみる。見た目は立派なゴルファーだ。うん、やる気が出てきた。
秘書課で何気なくゴルフを始めた事を喋ると、秘書課の全員がゴルフをしている事がわかった。課長もゴルフが大好きだと言う。
「大崎君、腕が上達したならみんなでコースを回ろう」
涼子がゴルフを始めただけでこれだけ話題が盛り上がるなんて思わなかった。もっと早くゴルフをしていれば良かった。
「大崎さん、ナイスショットです」
スクールのトレーナーは褒めてくれた。飛距離はそれほどでもないが、癖の無い、まっすぐな打球はとても良いと言う。
「飛距離は自然と伸びて行きます。大崎さんはその癖の無いショットを身体に覚え込ませてください」
涼子にも苦手はある。パットだ。パッティングコーナーで練習するがなかなかホールインしない。
「大崎さんは以外にもパットが苦手なんですね」
「はい、本通りに打っているつもりですが」
「パットは技術も大切ですがメンタルも必要です。頑張ってください」
女性トレーナーが手本を見せてくれる。ワンショットで決める。涼子に変わると入らない。
「練習、練習ですよ」
トレーナーがアドバイスしてくれる。しかし流石に平日は仕事で疲れているし、なかなか思うようにいかない。体力も必要だと知った。
「涼子、ゴルフ、続いてるんだね」
いつもの4人のお昼休み。
「結構これが楽しいんだ」
「涼子が打ち込める趣味ができて良かったね」
俊哉が言った。
「まあ、どこまで続くかわからないけどね」
「ゴルフ大会に出なさいよ」
「それだと特訓が必要ね」
彩が確か大会、11月じゃなかったっけ、と言い出した。
「涼子、時間あるじゃないの。エントリーしなさいよ」
三洋商事の最大のイベント、ゴルフコンペ。優勝賞金はデパート商品券30万円。そりゃ社員は夢中になる。
「涼子、チャレンジしなさいよ。みんなで応援するわよ」
涼子のゴルフコンペ参加によって大波乱が起こるのにはもう少し時間が掛かる。
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