第12話 神機の力

深夜。

俺は人気の全くない山奥のダンジョンにやって来ていた。

説明した通り、浄化師とはダンジョン攻略後に突入するものなのだが…その例外もある。

まだ反応が弱く、冒険者達が発見できていない”ダンジョン”―――こういった場所にあるダンジョンは基本的に俺が処理している。


流石の田舎とはいえ、人の住む集落や村等はある為…こういったものも俺の浄化対象となっている。

しかし、面倒な事に…出現したてのダンジョンとはいえまず初めに攻略しなくてはいけない。


俺は【ヘル&ヘヴン】を駆使して迫るモンスター達を消し飛ばす。


バババババ!!


『グガァァァ!』

『ギシャァァァ!』


今回は昆虫系のモンスターが住まうダンジョンらしい…俺、昆虫って昔から苦手なんだよな。

ダンジョンのモンスターは始め…この世界に馴染みある生物から生まれ始めたと聞く。

神情報なので間違いないのだろうが、それにしても巨大な昆虫というのは見ていてあまりいいものではない。


「はぁ…夢に出てきそうだ」


くるっと十字架を回転させると、カチャン!と弾薬が装填された音が洞窟内に響き渡る。

ちなみに俺の持つ【ヘル&ヘヴン】は宝具ではなく、と呼ばれるものらしい、宝具は聖魔力を強化するための武器で主に【悪魔】を対象した武器だ。

それに対して【ヘル&ヘヴン】は悪魔やモンスターと言った両方の存在に絶大な効果を持っている…ただしこれを所持する事の出来る条件の一つとして【神を信仰していない】事が大前提である。


つまり、当たり前のように人が神を信仰しているこの世界において【俺】以外に装備できる人間は存在していないのだとか。

冒険者達も神を信じていないと思うが…それはそれで違うんだろうか。


「ふぅ…ちょっと休憩」


暫くダンジョンを進む事数分、一度【ヘル&ヘヴン】の装備を解除した俺は近くの石に腰かけた。

あと…この神機とやらは大きな欠点があってだな。

すごい・つよい・無敵! と三拍子揃った性能の裏に、装備中は所有者の聖魔力と体力を奪い続けるという効果がある。

つまり何もしていない状態でも俺の体力と聖魔力が永久的に吸われ続ける訳だ。


「それにしても…このダンジョン。 できたばかりにしてはモンスターがやたらと強いな…」


苦戦しているという程でもないが、普段であれば1撃で倒せるモンスター達でも数発弾丸を叩き込まないと消し飛ばせない。

という事は、それだけこの場所のモンスターが頑丈というわけだ。


『邪教のエリア…』

『邪気を感じる…』

「なるほど…邪教徒の連中か…」


――邪教徒――

邪神を崇拝する組織で神に恨みを持ち、その強い憎しみが作用し邪神に操られた状態の人間達の事を言う。


となるとすごく面倒くさいな…邪教徒達は誘発的にダンジョンを出現させられると聞くし、モンスターを強化し聖魔力に対する耐性も引き上げる事ができるらしい。

正直、邪教徒の連中に対しては冒険者の方が優位である場合も多い…


未だ謎が多い邪教徒…どこに拠点があるのか、はたまた国内に組織があるのか…

神とは違い邪神共は人間に寄生し日々を過ごしていると聞く―――そんなの積みでは!?


ただ、その力は微量で力がないこそ人間に寄生しないと生きていけないのだとか。

邪神探知機も欲しいもんだ。


教会の人間【ノア】さん曰く、邪教徒となった連中は一発脳天をぶん殴れば正気に戻ると聞いたが、未だおれはその邪教徒の人間と出会ったことがない。


―――それにしても。


『グギャギャ…ワレ、ワレノ』

『ニンゲン…メッス』

「うるせぇぇぇぇ! 喋るなぁぁぁぁぁぁ!!」


ババババババ!!!

やっぱり邪教徒共が発生させたダンジョンのモンスター共は気持ち悪くて仕方ない。

ダンジョンの奥へ行くほど、モンスター達が統率を取り始め…まるで知能があるかのように組織的な動きを始める。

これだから、こいつらは嫌いなんだよ!!!


いままでのモンスター達は野性的な動きをしていたが、今俺の目の前にいるモンスター共は明らかに先ほどまでの動きとは違う。


『ミギ―――』


ドガーン!!


『タイヒーー!』

ダンジョン内に爆発音が響き渡る、しかし俺も相手を好き勝手させる程馬鹿じゃない。


「悪いなぁ!! 先手必勝…運が悪かったと思うんだな。 ファイア!!!」


ドゴーーーン!!

わざとダンジョン内の洞窟を崩壊させるように軌道をズラしてロケット弾を発射する。


『グァァァ!!』


バババババ!!

そして追い打ちをかける様に岩に挟まれ身動きが取れないモンスターに向け銃弾を叩きこむ。


かれこそ数十分。 はじめこそ相手をしていたが、無数のモンスターが押し寄せてきた辺りで俺は嫌気がさし、さっさと最深部を目指す為に【神機・ヘル】の上に飛び乗ったおれは―――


「くそおぉぉぉ! なんなんだここはよぉ!!!」


そのままスケートボードのように浮遊する十字架を操りながら、周りに迫るモンスターをブレードモードへ変形させた【神機・ヘヴン】で迎撃する事にした。


「きりがねぇ!! 許さんぞ!! 邪教徒ぉぉぉぉぉぉ!!!」


――――――――あとがき―――――――

神機【ヘル&ヘヴン】…一体何個の形態があるのか。

説明が難しすぎる!! 年始あたりはもしかすると更新できないかもしれないです!


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