第8話 最強の嫁と最弱の旦那と元・最弱
「…遅いですよ? それで教団の教祖が務まるともお思いですか? そんな緩み切った状態ではいざというとき戦えなくなります…よっ!!」
「ぐあぁぁぁぁぁ!」
目の前で繰り広げられる戦い――いや…一方的な暴力を尻目に、俺は久しぶりの豪華ディナーを前に全力で楽しんでいるところだった。
自炊を初めてからというのも、基本的な料理は作る事ができるが…やはり具材が高い高級料理となると流石の俺も無暗に贅沢をするわけにはいかない。
なんせこの世界で唯一といっても過言ではない低所得者であるとここに宣言しよう!
そう!! 神の使いであるのにだ!!
「と…いうか。 なんで彼だけに…あんな豪華な手料理を?」
「仕方ないではありませんか。 彼の功績は凄まじいものですよ? 世界を救っているといっても過言でない状態にも関わらず! ”神の手違い”ひとつであそこまでぎりぎりな生活を送っているのです。 週一度の贅沢位許さてもよいと思うのです」
「ま、まぁ…確かに」
喜ぶ俺の姿を見てか、もはやボコボコで顔の原型を留めていない青葉明治の姿が目に映った。
それにしても流石は数々の教団の人間を育てたと豪語するだけはある人だ、あのおっちゃんをあそこまでボコボコにできるとは。
更にすさまじい所はおっちゃんは魔法を駆使しているのにも関わらず、彼女の方は一切その反応が感じ取れない。
ということは、純粋な身体能力のみで彼に対抗している事が解る。
「それにしても…流石は神の力というべきか。 選ばれた者は違うんだねぇ…君と対等に渡り合ってる彼とは違って私はこのざまだ」
「あら? もしかしてあなた。 知らないのですか?」
「———へ?」
「神の加護は確かに強力ですけど。 元々の基礎能力を強化しているに過ぎないのです。 いわば素の人間の能力を少し強化して潜在能力を高めているだけ。 あなたみたいに神を信仰している場合はその加護の恩恵が大きいでしょうけど―――」
まるで何かを含んだ言い方をする彼女は俺の前までやってくると肩に手を置いて一言。
「そもそも彼。 ―――神を信仰してないんですよ? 加護の力なんて私達に比べるとかなり弱いものだと断言できます。 例えそれが12個あると言ってもですよ?」
「————え? ど、どういう…だ、だって彼は―――」
「あなたの話によると。 彼としっかり面識を持ったのは【あれから2年後】というじゃないですか」
「私達教団の人間も彼の名を聞いたのは2年前からです…ですが、あの時彼は【覚醒していた】 という事は、この空白の2年の間に何かあったのしょう」
「そ、そういえばそうだった…」
流石は頭も切れる天才【ノア・ティアーヘス】さんだ。
俺自身に神ががった能力が覚醒したのではなく、この神共は俺をサポートしているに過ぎない。
力を手に入れるにはその代償が必要で、それは途轍もなく苦しくも長い戦いであった――――
「懐かしいな…」
思い返すだけでもこのクソ神共に、はらわたが煮えくり返る気持ちがあるが…今ではそれなりに戦える力を得る事が来たので結果オーライというべき―――いや!!
収益その他諸々でマイナスが出ている時点で俺はこいつらを死ぬまで許さない。
神等許される存在ではない。
豪華な景品を上げるからと商品をチラつかせてはとんでもない要求をクリアしなければ結果手に入らない。
それはもはや俺の努力の賜物と言っても過言ではなない訳で、いったいこいつらは何をしてくれたのだろうと毎日考えている。
「そ、それほどの事を…?」
「あぁ。 青葉のおっちゃんもやってみるか? 木の棒でゴブリンを1000体倒したり…拳でスライムを倒すんだ。 途中で何やってるんだろって我に返るんだが、やめるわけにいかねぇんだ。 なんせそれを達成しないと俺は死ぬんだからな!!」
より一層、神への怒りをあらわにする俺はそこで見ているんだろうと言わんばかりの表情で天井を睨みつける。
――――――――あとがき―――――――
実は初めからめちゃくちゃ強い訳でもなかった自称シスター…一体過去に何をさせられていたのか!? 実は神と仲良くもない主人公くんでした
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