第7話 集いし十一教団【11人の選ばれし者】

ここは神々に選ばれし者しか訪れる事が出来ない特別な場所。

辺り一面は綺麗な自然に囲まれており、泉の上に円卓が浮いている。

その11の席に座る修道服を身に着けた女性達は何か話を始めた。


「ヘファイストス教代表…ヘキルさん? 遂に青葉さんの姿が見えなくなってしまったのですが、これについて何か意見はありますか?」


鋭い眼光を赤髪の女性に向ける、少し露出の多い特殊な作りの修道服を身に着けた女性はまるで「貴方のせいですよ?」と言わんばかりの態度で彼女に詰め寄っていた。


「あ、いや…その…。 い、言わせてもらうがな! お、お前らだって最初は反対だったろ!!」


顔を真っ赤にしてテーブルを勢いよく叩いた彼女はほかの10人それぞれを指さすと逆切れを始める。

しかし、冷たい眼差しのままの女性を睨みつけていた。

そこで緑髪のスラットした体系の女性が手を挙げる。


「では、アルテミナさん。 どうぞ」

「………私はいつまでその話をしてるんだボケ。 と、あのアホに言いたいです……皆さんはどうでしょうか?」

「うぃ~あたいも同意見~! んなもん、こっちはとうに折り合い付けてんだよ! タコスケェ!」


身体の至る所に十字架をぶら下げ、かなり特殊なデザインの修道服を身に着けた金髪の女性はそう告げる。


「お、おめぇだけには言われたくねぇわ! この酒カス女ぁぁ!」

「なんだとぅ~!? こっちは酒でも飲まねぇとやってられねぇんだ! ほとんど寝てねぇんだぞ! ごらぁ!」

「いつもの如く脱線だな…愚かなり」


2人が喧嘩をする様子を眺めるのは、目元に隈がくっきりと残っている紫髪の女性。

彼女は”フハハハハ”と不気味な笑みを零しながら楽しそうに喧嘩を眺めていた。


「はぁ…静粛に。 とりあえずこの話は、いったん保留としましょう。 ところで、話は変わるのですが…あれから4年。 この中で青葉さん以外に【特級】のあの方と会ったというものは?」


パンっと手を叩き場を静かにさせると、再び話を始めた彼女は全体を見渡すようにそう話始めた。

少し期待の眼差しを向けながらも何か怯えているようにも見て取れる。


「オレはねぇぜ…」

「あたいも~」

「………私もない」

「僕もないかな~」

「わたしくもありませんわよ?」

「我もだ。 あるわけなかろう」

「拙者も。 同じく!」

「わたしも~ないわねぇ~」

「わ、私も…あ、会ったことはないです!」

「私もないわよ? なに? まさか全滅? あんたはどうなのよ? ゼリス?」


…………沈黙


「ないのね…」

「あれば、こんな話はしていないわ…」

「でしょうね、まったく…」


全員の視線が赤髪の女性に集中する。

再びしばらくの沈黙が続いた―――実際問題…彼女達が【あの男】と対面できない理由はほかにもあった。

青葉明治の件についても同じく、男性が教団の中枢となる事を酷く拒み何度も衝突が起こったのだが、それが原因で未だにその溝が埋まる事はなかった。

なんせ現在もシヴァ教団とほかの十一教団は分裂状態にあるせいか、うまく連携が取れていないのも事実である。


「仕方ないわ。 ヘキルさん…青葉さんに抱かれて来なさい…」

「————へ?」


何か決意に満ちたかの様な表情で彼女に指差すと、周りの全員も大きく頷いた。


「な、な、なんでそうなるんだよ!! いいか? オレはオレより強い男しかなぁ!」

「……シヴァ教団にスパイを紛れ込ませた……これは立派な違反行為」

「うっ!」


――――


「い、いやだけど!!」

「シヴァ教団に回る金をそっちに回したらしいじゃねぇか? なぁ~?」

「い、いや…その…」


―――


「だ、だけど! お前たちだってそれくらいの――――」

「団員の引き抜き、依頼内容の偽装、冒険者を利用した悪質な嫌がらせ―――あんたねぇ!? もう調べはついてるって言ってんのよ!」

「——うっ!! だ、だってぇ~!」

「おまけに嬉しい報告ですよ。 【特級】の彼、貴方にあったらボコボコにしてやるって言ってるらしいですよ。 よかったじゃないですか、貴方より【強い男】にボコボコにされるのがいいんでしょう」

「う、うぅ~だ、だってぇ~だっでぇぇ!!!」

「泣くな弱者。 …時の流れに逆らおうとするからそうなるのだ。 お主は【昔は昔は】と要らぬ話ばかりする老害共と同じなのだよ。 姑息な真似ばかりしおって、腹を切れぇい!」

「まぁ、ほら。 ヘキルちゃんってバカだからさ! 半分仕方ないって所もあるよね、それかみんなで丸裸にしてさ♪ 縛り付けておじさんにプレゼントする!? それならよろこんでくれるんじゃないかな♪」

「それより~みなさん~忘れてるかもしれないですけどぉ~。 向こうには私の怖~い怖~いお姉様がいらっしゃるんですよ~? そこは考えてますか~?」

「「「「「あ……」」」」」



会話の間に入るようにおっとりとした褐色肌の女性がそう告げるとみんなは一瞬で固まってしまった。

シヴァ教団所属、中級浄化師の異名を持つ女性の名は

ノア・ティアーヘス…現在は青葉明治の嫁であり、彼女達が最も恐れる存在である。


――――――――あとがき―――――――

自分の中で考えられる限りでの色んなクセ強めの女性陣を集めてみました!

全員紹介したかったんですけど5000文字超えそうだったのでまた次のどこかでご紹介できればなと!!


フォロー、ご評価もよろしくお願いいたします。

十字架武器っていいよね!? 最高だよね!!

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