第5話 ダンジョンの後始末

この世界にダンジョンという存在が現れてからというもの早数百年。

人類はダンジョンボスを撃破する事で崩壊するダンジョンの性質を知り、人々は安全な暮らしを求めるために攻略を開始した。

そして次々とダンジョンを攻略した冒険家達は安住の地を取り戻し、再び平和な世界が訪れたという。


のは、誰もが知っている昔のお話。

ある時の事である、攻略されたダンジョンの一つが突然復活し都心にダンジョンが出現した事もあったと聞く。

それから数百年、ダンジョンはそれぞれの周期事に復活するという事実を突き止めた”ひとりの人間”が情報を世界に公表した。


そして、ダンジョンを完全に攻略するには”聖女”の力が必要不可欠で攻略後に現れた【悪魔】と呼ばれる存在”別名”【巣窟悪魔ダンジョンデーモン】を葬らなければ再びダンジョンは同じ場所に復活する。


「その周期はダンジョンで葬られた人間の数、そして…欲望の数…おまけに死んだモンスターの数々と…それらを計算して答えを導き出す。 できるかぁぁぁ! そんなこと!」


それらが収束する事でダンジョンは再びよみがえると聞く。

だからこそなのだろう、このように何百年も前のダンジョンが再び現れる傾向にあるのは。

しかし、これらの事象は全て事件性のないものとして処理されてしまうのが事実で…

教団の人間も気付けずにダンジョンが現れ、その地に住む家族が行方不明になる事が多々あったらしい。


「まぁ、そういった復活するギリギリのダンジョンを消し飛ばすのが俺の仕事なんだけどな…」


昔の図巻でしか見たこともない様なモンスター達を消し飛ばしながら俺はダンジョンの中をせっせと進んでいく。


「はぁ…神様。 普通のモンスター達の素材位残してくれたっていいんじゃないんです!? 全部消し飛ばさなくてもいいでしょう!? 売れるのにぃ!!」


なぜ俺が日当1万円生活に甘んじているかというにはもうひとつ致命的な理由がる。

シスターとして覚醒してしまった俺は、莫大な聖魔力を得ると同時に専用武器以外でモンスターへの攻撃が禁止されてしまった事である。

実際、ほかの武器でモンスターを叩いてみたが見事にノーダメージだった。


かといえば、この機械仕掛けの十字架馬鹿兵器【ヘル&ヘヴン】はモンスターから悪魔まであらゆるものを消滅させる能力を有している。

つまり、どういう事かというと――――モンスターの素材で取引を行う冒険者には一生なれないという事である。


「終わった…俺の人生…」

『聖人としての威厳がある…』


等とフォローをもらうも、そんな情けをかける位ならばせめて金をくれと思うばかりだ。


「地位も名誉もいらん! 金をくれぇぇ!!!」


ある神が告げる

『その感じ…最高』と。


辺りを散策する事数時間。

モンスターの襲撃を難なく突破してきた俺は、ダンジョンの最深部へとやってきていた。


「ふぅ…古臭いダンジョンだと思ってなめてたな…」


流石に途中で休憩の一つでもしておけばよかったと後悔しつつも、目の前に現れる黒い靄に向かって銃口を構える俺。


『ふふふ…流石は教団の人間だ…我々の存在に気付――――』


なにやらべちゃくちゃと要らぬことをしゃべりながら現れた全身真っ黒の異形の怪物。

そして―――目が合った。


『あ…』

「光になれぇぇぇぇぇぇ!! フルバ――スト!!!」


ガチャガチャ! と展開した十字架からは途轍もない量の照準レーザーが異形の怪物に狙いを定める。


ドドドドドド!!!

降り注ぐ銃弾の雨あられ、絶え間なく飛び出す小型ミサイルの数々と怪物を覆う程の爆撃。


『ぐ、ぐぁぁぁぁぁ! なんだ、この非常識な力はぁぁぁぁ! ま、まて! まだ、準―――うわぁぁぁぁぁぁぁ!! 我が、し、しぬぅぅぅ!?!?』


カチカチカチ…

弾切れになったヘル&ヘヴンは全体から白い煙を発生させ放熱状態に入る。

目の前ではめちゃくちゃになったダンジョン地面と、”ソレ”があったでだろう場所に大き目のクレーターが見える。


「ふぅ…しかし。 ここだけはストレス発散になるんだよな、だから止められねぇぜ…シスターはよぉ!!」

『せめて待ってあげても…』

『…殲滅確認』

「いや、だれが相手の出現を待つ馬鹿がいるんです? よし、正々堂々勝負だ! ってこっちはもう疲れてやってきてるんですよ? そこからフェアじゃないでしょうがぁ!」

『『『確かに』』』

「先手必勝。 いちいち苦労したくないですしね~さぁ、ダンジョンが崩壊する前に帰ろ帰ろ。 あ~! 浄化浄化~」


懐からお札の様なものを取り出した俺は来た道を引き返しながら、札を地面にばらまいてゆく。

神曰く、この札がダンジョンのコアを完全に消滅させる作用を持っているらしい。

見た感じ普通の真っ新なお札にしか見えないが…というかシスターがお札って!!


あぁ~…これが現金ならな~…


――――――――あとがき―――――――

私生活で苦労しているので、ダンジョン攻略に力を入れたくない主人公のお話でした!

今夜は20時にもう1話更新予定です! 


フォロー、ご評価もよろしくお願いいたします。

十字架武器っていいよね!? 最高だよね!!

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