第4話

       ● ● ●


 伊達右近衛権少将(うこんえごんのしょうしょう)政宗は事態を理解する。

 刹那、渠はすぐ近くにいた上杉中納言景勝に視線を向けた。

 渠も、こちらにちょうど目線をうつしたこところだ――行こう、無言でふたりは意思を交わした。

「今ぞ!」「伊達総長を討つのだ!」

 伊達政宗、上杉中納言は叫びながらも、自身も全力で伊達総長へと迫る――。


 馬廻と馬廻が衝突し、幾人もの武者が落馬した。


 そしてついに伊達少将は伊達総長――もうひとつの世の己へと、途中で地面から拾いあげた槍をくり出す。

 が、怒りに駆られながらも伊達総長の槍捌きは鋭かった。

 こちらの攻撃の軌道をそらすや、逆に政宗へと穂先を電光の速度で突き出す。

 なんとか身をよじって政宗は攻撃を避けた――が、鋭い一撃は甲冑の一部を砕き、脇腹に激痛を走らせる……

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