第2話

神奈川県三浦市に、従兄が住んでいるが、昔は、叔父さん叔母さんが住んでいた。

 そして、ミツルは、「京急快特が、好きだった」と気がついた。

 だが、中学生の時、「色弱のため、電車の運転士になれない」と思った。

 ミツルは、京急快特三崎口行きに品川駅から乗車した。

 当たり前だが、青森よりも、東京の方が、人口は多い。

 そして、ミツルは、野暮ったい青森よりも東京や横浜の垢ぬけた人や物に憧れもあった。勿論、電車も好きだから、感動もしていた。

 品川から蒲田、川崎、横浜、横須賀中央、三崎口と着いた。

 そのまま三崎口の従兄の家に行った。

「久しぶりだね、ミツル」と言った。

 従兄が出てきた。

それで、と思った。従兄も、年を取った。

 白髪が出てきて、「いや、中性脂肪が、多いって、採血で言われた」と言い、「ミツルも、お酒飲みすぎ注意だよ」と言いながら、一緒に唐揚げをつまみにしながら、食べた。

「娘には、旅行会社で仕事しろって言えない」と従兄は、言った。

 この時だった。

 ミツルは、従兄と話をしてふと思った。

 果たして、ミツルは、どうか、と思った。

 バイト先で、まだ物の道理が、分からない年端のいかない子供に「塾で仕事をしろ」と言えるだろうか?

 従兄は、旅行会社で仕事をしても、海外へ行くと、色んな危ない目に合うから、それだけはさせない、と言った。

 じゃあ、オレは、どうだったのかと思った。

 ミツルは、電車の運転士になれなくて、大学で歴史学を専攻して、就職しようと思ったが、できなかった。

 だが、現実は、甘くなかった。

 加えて、母親は、「まだ、ミツルは、仕事なんて早いから」と言って、ずっと手元に置いていた。

 色弱で苦労をしたミツルは、結局、塾講師になりながら、親元で生活をしている。

 母親が、食事を用意している。ボンボンとは言われながら、この年まで来た。

 そして、従兄の家で一夜を過ごして、三崎口から京急快特で品川まで出て、東京駅から東北新幹線で、青森へ帰ってきた。

 それから、暫くしてからだった。

 そうだよな、と思った。

 青森へ帰ったミツルは、急に「図書館司書になりたい」と感じた。

 それは、ミツルは、子供のころから、読書が好きだったから、と思う。

 小説を書くセンスはないけど、図書館なら、何か、自分の夢が叶いそうだと思った。

 それから数年が経過し、ミツルは、通信教育で、図書館司書になった。そして、家から少し離れたところの小さな図書館で採用された。そして、合格になったとき、ミツルは、キャバクラへ行ったが、リカは、いなかった。

 当たり前だが、リカは、いなかった。

 東京へ行くきっかけのアドバイスをくれた彼女は、いなかった。

 初出勤日だった。母親に見送れらながら、ミツルは、クルマを運転して、村の図書館へ着いた。

 そして、「おはようございます」と挨拶をした瞬間に、リカが、エプロンを掛けて、口を開けて、ミツルを観た。有村架純に似ているリカが、いた。

 それから二人は、同僚になった。<完>

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東京まで 坂中祐介 @simichi0505

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