第2話 お菓子

「チョコレート食べたい!」


 また、いつもの駄々が始まった。金切り声のような耳障りな高い声を上げてチョコレートを食べたいと要求してくる。


 最近、娘は晩ごはんを食べたあとにタブレットでアニメを見ているのだが、その使用時間がタイマーで終わってお風呂に入るタイミングでお菓子を要求してくる。


 最初の頃はお風呂にすんなり入るならばと、お菓子を与えていたのだか、その習慣が定着してしまい、いつもお菓子を要求してくる。それも、夕飯後に一度食べたにも関わらず、更に食べたいと言ってくるからたちが悪い。


 ここで甘い顔をしてはだめだと、心を鬼にして訴えを退ける。


 娘は自分の要求が通らないと感じると、私の立っている足にしがみついて「チョコレート」と言いながら直訴しだした。


 最初はしがみついている娘を引きずりながら移動していたが、このままだと下の子にぶつかる可能性があって危険である。


 なんとか、安全な場所に移動すると、そこは下の子が出したおもちゃで足の踏み場もない状態だった。


 おもちゃが散乱してるなと思いながら片付けを始めると!娘も駄々をこねながら一緒に片付けてくれる。なんていい子なんだろうか。


 そのまま、一緒におもちゃを片付け終わると、さっきの続きとばかりに再び「チョコレート」と要求を再開し始めた。


 このままでは埒が明かない。


 一緒におもちゃを片付けたという意味付けをし、「今日だけ特別」とプレミアム感を出しながら飴を一つあげることで手を打った。


 結局、お菓子を与えてしまった。この特別感を認識してるのだろうか。分かってないよな。

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パパと娘の天国と地獄の子育て 木内東亜 @carrack

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