第34話 持久戦
俺とアネットは、エスエの氷の防壁にファイヤーボールを撃ちこみ続ける。エスエが防御に手一杯なら攻撃はできないはずである。
しかし、俺たちに向けて地面が凍りながら向かってくる。途中には、騎士や剣士と魔物が戦っている。魔物に一太刀入れた騎士と切られた魔物が氷柱と化し砕ける。
アニタも戦っていたが直前に飛びのき難を逃れる。カスパーがマグマウォールで防ぐ。
エスエは冷気の攻撃を続ける。カスパーがマグマウォールをコントロールして防ぎ続ける。エスエの冷気は周囲を極寒の地に変えていく。
それでも俺たちはファイヤーボールを撃ちこみ続ける。氷の防壁はファイヤーボールで溶けるが再び凍ることを繰り返している。高温のファイヤーボールは確かに効いているのだ。
エスエの周りの魔物たちが氷柱となって砕けていく。彼女の冷気は敵味方関係なく凍らせて殺していくのだ。彼女は他の魔族とは共闘できないのであろう。
彼女は味方の魔族まで殺しかねないのだ。
エスエは、氷の防壁の中でイラつく。
「いつまでファイヤーボールを撃ち続けるつもりだ。そろそろ魔力切れを起こしてもよさそうなのに・・・」
彼女は魔力切れを起こし攻撃がやむことを待っていた。俺とアネットは上級魔法士である。ファイヤーボールならかなり長時間撃ち続けることが出来る。
特に俺はまだ他の魔法を使うだけの余力を残している。俺はファイヤーボールの温度を上げることに慣れてきたので、さらにファイヤーボールの数を増やす。
「アニー、まだ余力があるの。」「まだ、他の魔法を使う余裕がありますわ。」
「さすがね。私はまだ撃ち続けられるけど、全開に近いわ。」「魔力切れしても私が何とかしますから心配いらないわ。」
「年下のくせに生意気よ。」「ネティー、その意気よ。」
エスエは、ファイヤーボールの攻撃が激しくなってきていることに驚く。奴らは必死にファイヤーボールを撃っていたのではないか。疑問がよぎる。そして、作戦を魔力切れ待ちから変える。
彼女は冷気を全開にする。魔力の消費は激しいが短時間で勝負をつけることにしたのだ。
エスエな周りから地面が全域に凍り始める。カスパーが指示する。
「全員集まれ。凍らされるぞ。」
剣士や騎士たちが集まって来る。カスパーはマグマウォールで円形に囲みみんなを守る。しかし、マグマウォールが大きくなった分温度の維持が難しい。
俺はアネットに言う。
「ネティー、ギルドマスターを手伝って。」「分かったけど。攻撃は大丈夫?」
「まだまだ、余裕よ。」「守りは任せて。」
アネットはカスパーのマグマウォールの外側にウインドシールドをドーム状に張る。これは俺がファイヤーボールを任意の場所に発現できるからできることだ。
俺はファイヤーボールの数をさらに増やす。
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