第33話 戦局の変化

 俺は、魔法をファイアーランスからファイヤーボールに変えてワイバーンを狙う。ファイヤーボールを受けたワイバーンは翼を焼かれながら落ちていく。

 ワイバーンは大方片付いたが、まだ多くの魔物がいる。アネットが俺に聞いて来る。

 「このままだと魔物の討伐に時間がかかりすぎるわ。」「ネティー、マグマウォールで防壁を作って魔物の攻め口を小さくしましょう。」

 「それだと楽になるけど魔物の討伐に時間がかかるわ。」「攻めてきた魔物はパイルサイクロンで消し飛ばしましょ。」

 「分かったわ。私が防壁を作るからパイルサイクロンをお願い。」「分かりました。」

アネットは詠唱を始める「灼熱の防壁よ、我を守りたまえ。マグマウォール」

 マグマの防壁が俺たちを取り囲んで魔物から守る。そして、マグマウォールの切れ目に魔物が集中する。アニタとアヒムが奮戦して魔物を食い止める。

 今度は俺が詠唱を始める。「我を遮るものを砕き穿て。パイルサイクロン」

 アネットが叫ぶ。

 「アニタ、アヒム下がって!」

アニタとアヒムが斜め後方に飛びのくと強力な風の渦が入り口に向けて飛び出していく。風の渦は入り口に集中した魔物を巻き込み切り裂いていき、風が赤く染まる。

 アネットは入り口をマグマの防壁で閉じると反対側にマグマの防壁を無くし新たな入り口を作る。入り口は騎士たちが魔物から守る。

 今度はカスパーが詠唱を始める。「我を遮るものを砕き穿て。パイルサイクロン」

 入り口の騎士たちが飛びのく。すると強力な風の渦が魔物を書き込みながら入り口を飛び出していく。

 俺はマグマウォールをアネットのマグマウォールの周りに作りだし防壁の周りにいる魔物を閉じ込める。そして、マグマウォールの厚みを内側に向けて増していく。アネットは俺に

 「面白い事、考えるわね。」

と言うとマグマウォールの厚みを外側に向けてコントロールする。マグマウォールに閉じ込められた魔物たちは焼け死んでいく。

 魔物の数が減ったので剣士、騎士たちは再び攻めに転じる。魔法士たちはファイヤーボールで援護する。

 俺は、氷獄のエスエを見る。彼女の戦場と関わりの無いようにしていた顔がこちらを向き、俺たちを睨みつけている。ようやく俺たちを敵と認識したようだ。

 俺はアネットに言う。

 「エスエをやるわよ。」「アニー、どうするつもり。」

 「ファイヤーボールで飽和攻撃するわ。」「ファイヤーボールなんか聞かないわよ。」

 「ファイヤーボールの温度を上げるのよ。」「それなら、魔力消費も小さいし、何とかなるわ。」

 「ネティー、始めるわよ。」「ええ、いいわ。」

俺とアネットはエスエにファイヤーボールで攻撃を始める。ファイヤーボールの温度はどんどん上がって行く。初めエスエは気にも留めていなかったがファイヤーボールがエスエに近づき始める。

 「うっとおしいわね。バカの一つ覚えかしら。」

エスエはそう言いながら氷の防壁を作りだしファイヤーボールを防ぎ始める。カスパーが言う。

 「私も攻撃に加わろうか。」「ギルドマスターは防御に備えてください。」

俺とアネットはファイヤーボールに集中しているため、カスパーに防御を頼るしかない。

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