第32話 女神の助言

 氷獄のエスエは、カスパーを見てつまらなそうに言う。

 「もう少し抵抗はできないの。私が相手をするまでもないわね。」「黙れ、私の村でしたことは忘れないぞ。」

カスパーが叫ぶが、エスエはもう彼を見ていない。俺は周囲から魔物が集まって来ることを探知する。

 「魔物に囲まれます。剣士と騎士を戻して!」

カスパーが手を上にかざして、魔法を放つ。ドンと大きな音を立てて俺たちの上で赤く光る。気づいたアヒムたちと騎士団が集まって来る。カスパーが言う。

 「魔物が来ます。防御の体制をお願いします。」「おおう。」

同時にどこに隠れていたのが新たな魔物が押し寄せてくる。カスパーが俺に言う。

 「魔物の探知が早いので助かります。」「エスエはどうするのですか。」「今は魔物に対処しましょう。」

俺は魔物にファイアーランスの雨を降らして援護する。アネットとカスパーも魔物の群れにファイアーランスを撃ち込む。

 他の魔法士もファイヤーボールで援護する。剣士と騎士たちは円形に陣を組んで魔物と戦う。

 魔物はワーウルフ、シルバーグリズリー、ワーグタイガーに魔物化したホーンボーアである。数は村にいた魔物より多い。

 さらに悪いことにワイバーンが加わる。ワイバーンの空からの攻撃は厄介なのである。

 俺はリミッターを開放すべきか考える。開放すれば人の10倍の魔力が使える。それでも氷獄のエスエにかなう保証はない。

 (あんた、このくらいで制限を解除しないと戦えないの。)

女神テイアが俺の考えを読んでクレームをつけてくる。見ている方は楽だからいいよなー

 (私にケチをつけるつもり。)(テイア様、そんなことはありません。しかし、ピンチなんですよ。)

 (氷獄のエスエになら今のままでも戦えるでしょ。)(無茶言わないでください。)

 (ファイヤーボールで行けるわよ。)(全然、効かないですよ。)

 (ファイヤーボールを発現する時の温度を上げるのよ。それほど魔力の消費は増えないわ。)(発現時の温度ですか、集中しないといけませんね。)

 (これで勝てるわよ。)(試してみます。)

俺は女神テイアの助言に従うことにする。だが、その前に魔物を何とかしないといけない。

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