第31話 エスエの脅威
剣士のアヒム、アニタたちと騎士団は、統制の取れていない魔物を切り殺していく。そこに魔法士の援護が加わっているため、優位は揺るがない。
これも氷獄のエスエが立ったまま動いていないからでもある。アヒムは冒険者と騎士団に決して魔族には近づかないように指示を出している。
そのため、戦いはエスエから離れたところで行われている。騎士の1人がシルバーグリズリーを倒すと何を思ったのかエスエに向かって行く。
彼は自分たちが魔物を易々と倒しているので魔族の軍団が大したことないと思い込んでしまっていた。
シルバーグリズリーを倒すと視界に無防備なエスエの姿が目に映る。彼女は茫然としていると勘違いする。
エスエを殺せば、この戦いの手柄は自分の物である。彼は勝利を確信して彼女に近づいていく。
エスエは今の状況を見てため息をつく。すると彼女の周りが極寒の地に変える。エスエに近づいていた騎士が巻き込まれて氷柱になる。
エスエは瞳を動かして、氷柱になった騎士を睨む。すると氷柱は粉々に砕ける。
俺は、それを見て、腹の底に冷たいものが流れる感覚にとらわれる。俺はエスエに恐怖したのだ。カスパーがうわごとのように言う。
「私の村の戦士は、みんな氷柱になって死んでいったんだ。私たちも同じ道をたどるのか。」
アネットが俺とカスパーに言う。
「私たちは上級魔法士よ。戦うわよ。」
彼女はファイアーランスをエスエに撃ち込み始める。しかし、ファイアーランスはエスエに届く前に消滅する。
「アニー、何やっているの。」「ネティー、ごめん。」
俺はファイヤーボールをエスエの周りに作りだし撃ち込むが、やはり、エスエに届く前に消滅してしまう。
エスエは俺たちに向けて手をかざす。すると地面を凍らせながら氷が走って来る。アネットがマグマウォールでかろうじて防ぐ。
俺はエスエの周りにファイヤーボールを作りだし撃ち込み続ける。カスパーが詠唱を始める。「灼熱の防壁よ、我を守りたまえ。マグマウォール」
マグマがエスエをとり囲むように盛り上がり上部をドーム状に閉じる。エスエはマグマウォールに閉じ込められる。
このままならエスエはマグマで蒸し焼きになるはずだ。だが、マグマは温度を下げていく。カスパーが頑張っているが温度の低下は止まらない。
マグマのドームは凍り付き、粉々に砕ける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます