第27話 メテオフォール

 Bランクのパーティーは、ローム村の近くで村の様子をうかがう。魔力探知では村は魔物の群れで覆われており、その中心に大きな魔力反応がある。

 「魔物の数が多すぎるな。」「俺たちだけでは無理だぞ。」

 「氷獄のエスエを倒せれば、俺たちは英雄だ。」「あれをやるか。」

 「メテオフォールか。あれを使うと魔力切れになる。戦えなくなるぞ。」「エスエをメテオフォールで倒してしまえば、逃げるだけだ。」

 「エスエを倒せなかったらどうする。」「どちらにしろ逃げるぞ。」「分かった。」

パーティーの魔法士が詠唱を始める。「空のつぶてよ、舞い降りて全てを葬り去れ。メテオフォール。」

 空から火球が降り注ぐ、そして大地が揺れ、衝撃波が襲って来る。Bランクのパーティーは、地面に伏せて衝撃波から身を守る。

 そして、ヒーラーが村を魔力探知する。村の中央付近から魔物の反応が無くなっている。しかし、魔物の群れの中心の大きな魔力反応は健在である。

 「失敗だ。逃げるぞ。」「急げ、離れるぞ。」

Bランクのパーティーは、村から離れようと逃げ出す。村から魔物の追撃はない。パーティーは、しばらく走ると逃げ切ったと思い歩き始める。

 「メテオフォールが効かないなんてどうやって倒すんだ。」「あれは俺たちの手に負える相手ではないぞ。」

 「ルマールから逃げよう。」「俺たちはここで頑張ってきたんだぞ。」

 「死ぬのはごめんだ。」「そうだな、このままギルドに帰ってもエスエと戦うことになるな。」

 「このまま、ここを離れようぜ。」「そうするか。」

すると突然、道の両側からワーウルフの群れが襲って来る。彼らは、魔物から逃げ切ったと思い警戒を怠っていた。エスエの強大さの恐れからいつもはしないミスを犯してしまったのだ。

 剣士と戦士が魔法士を守りながら戦おうとする。魔法士は魔力切れで援護が行えない。ヒーラーがウインドシールドを展開する。彼らは20匹のワーウルフに囲まれている。

 そこにシルバーグリズリーとワーグタイガーが加わる。そして、空にはワイバーンが旋回している。パーティーのリーダーが言う。

 「ウインドシールドはあとどのくらい持つ。」「10分くらいだ。」

 「囲みを突っ切るぞ。」「この数では無理だよ。」

 「他に方法はないだろ。覚悟を決めろ。」

パーティーはウインドシールドを解除すると前方に向かって突進する。剣士と戦士が魔物を切り裂いて道を作る。しかし、魔法士が魔物に捕まる。

 さらにヒーラーが魔物に引きずり倒される。剣士の剣が折れる。戦士は斧を失う。Bランクのパーティーは魔物の群れに飲み込まれる。

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