第24話 アベル、本気になる
アベルの気配が変わる。俺たちのファイヤーボールの飽和攻撃は続いているが、彼は右手を俺たちに向け掲げる。アネットがウインドシールドを3重に張る。
そこに巨大な魔力の波動が襲って来る。
アベルは魔法の詠唱をしていない。彼は魔力そのものを力としてぶつけてきているのだ。魔力の波動は、さっきより強くアネットの一番目のシールドが破られる。
エック、エマ、ヨーゼフが膝をつく。ファイヤーボールを撃ち続けて魔力切れを起こしたのだ。ディルクはまだ余力があるようで今のうちに休んでいる。
俺は、任意の場所にファイヤーボールを作りだせるのでシールドの外の上空にファイヤーボールを作りだし撃ち続けている。
アベルはファイヤーボールを疎ましく思っているようで顔から薄笑いが消えて言う。
「鬱陶しいですね。いつまでこの攻撃を続けるつもりですか。」「あなたが倒れるまでよ。」
「馬鹿め。効いていないことが判らないのか。」「効いているから気になるのでしょ。まだまだ、続けるわよ。」
「忌々しい、ムーンカッター。」「ネティー、防御強化!」「分かっているわ。」
ウインドシールドのドームに魔力の刃が飛んでくる。ビシッと嫌な音がする。ウインドシールドの2層目にひびが入ったのだ。
アベルの瞳が赤く輝く。彼は本気になったようだ。俺はキャリブレイトでアベルの魔力の大きさを見る。すると最初の頃より魔力の大きさが小さくなってきている。
彼は少しづつ消耗しているのだ。彼は再びムーンカッターを放つ。俺はシールドの一番内側にウインドシールドを張る。
今度のウインドカッターは強力でアネットの3層のウインドシールドを破る。しかし、俺のウインドシールドが耐え抜く。
「この虫けらどもしつこいぞ!今度こそ消してやる。」
アベルは吠えると両手を重ねる。すると重ねたての間から光が出てくる。手をゆっくりと離すと光の玉が出来る。
これはまずい。魔力を凝縮したエネルギーの玉だ。俺はとっさに俺たちとアベルの間にクレイウォールを作りだす。
「ネティー、まずいわ。」「こっちも強力な防御を作るわよ。」
アネットはウインドシールドを前方に集中して6層のシールドを張る。俺はその内側に3層のドーム状のウインドシールドを張る。
クレイウォールに9層のウインドシールドだ。これにかけるしかない。クレイウォールが爆発して吹き飛び、ウインドシールドが破られていく。
そして、俺の張ったウインドシールドも破られていく。最後のシールドにひびが入る。
「伏せてー」
シールドが破れ、俺たちを爆風が襲う。
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