第22話 ラトワ村の魔物

 「アニエス様をあがめ隊」の面々は森に向かって進む、魔法による探知は魔法士のエック、エマ、ヨーゼフの役割である。森の近くまで行った時、3人は魔物の大きな反応に気づく。

 これは、魔物が数匹いるというレベルではない、大きな群れと言った方が良い数だ。エックがアヒムに言う。

 「この先に魔物がいる。かなり多いぞ。」「俺たちでやれそうか。」

 「いや、大きな群れのようだ。協力がいる。」「アダム、アリスを呼んできてくれ。ここは風下だな。ここで待機する。」

アダムが林の方に向かって走り出す。この時、俺たちは林の奥に向けて歩いていた。アネットが言う。

 「魔物の気配が全くないわね。他の村を探した方が良いかしら。」「今日はラトワ村に集中しましょう。」

 「そうね。明日のことは、また考えればいいわ。」「アニエス様、誰か林の中を走っています。」

俺は、探知を人に集中する。

 「追われているようではないけど、気になるわね。」「アニー、そちらに向かいましょう。」

俺たちは方向を変える。しばらく歩くと林の中を走っているアダムに会う。

 「どうして、1人で走っているの。」「アニエス様、応援をお願いします。魔物の群れを見つけました。」

 「アニー、行きましょ。」「アリスの方々、走りますよ。」「はい。」

俺たちはアダムの案内で森に向けて走り出す。俺たちは30分ほど走らされる。「アニエス様をあがめ隊」に合流するとアヒムが言う。

 「アニエス様、援軍ありがとうございます。」「魔物の群れは大きいようね。」

 「奴らは、さっきから全く動いていません。夜を待っているのでしょう。」「どうやって片付けるつもり。」

 「コロール村の方法を使いましょう。」「分かったわ。ネティーもいい。」「いいわよ。」

俺たちは気づかれないように群れに近づく。茂みから見ると40匹くらいいる。ワーウルフ、シルバーグリズリー、ワーグタイガーに加えてワイバーンもいる。

 ワイバーンは空から攻撃されると厄介だ。俺とアネットはワイバーンを狙うことにする。俺たちは詠唱を始める「我を遮るものを砕き穿て。パイルサイクロン」

 強力な風の渦が起こり巻き込んだものを粉々に砕いていく、木々を巻き込んで倒し、魔物をミンチに変えていく。パイルサイクロンはワイバーンを全滅させる。

 他にも多くのワーウルフ、シルバーグリズリー、ワーグタイガーが巻き込まれて魔物の数を減らす。魔法士のエック、エマ、ヨーゼフ、ヒーラーのディルクがファイアーランスで援護を始める。

 アヒムとアニタが先陣を切って飛び出す。それに戦士のベント、剣士のベルン、クリストフ、ディートが続く。アネットはファイアーランスを連射して援護する。

 俺はファイヤーボールを撃ちこみ魔物を炎に包みこむ。魔物たちは急襲にまともな反撃が出来ずに討ち取られていく。しばらくして魔物は全滅する。

 俺たちはホッとする。その瞬間、突然巨大な魔力を探知する。俺はとっさにウインドシールドをドーム状に展開する。アネットも高速詠唱してウインドシールドを展開する。

 対応できたのは俺とアネットだけである。ウインドシールドに強力な魔力の波動がぶつかる。

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