第20話 勇者様ってアレだよ

 俺たち残ったメンバーは、ギルドを出るとコロール村での勝利と称して食堂へ行き宴を始める。要はみんな飲みたい気分なのだろう。

 俺とアニタ、アネットは酒を飲むことが出来ないので、食べるだけである。アネットが言う。

 「こう度々宴があると太ってしまうわ。」「体を動かしているから大丈夫ですよ。ネティー。」

 「それって筋肉質になるっていうことよね。」「気になりますか。」

 「私は、宮廷魔法士となって、召喚された勇者様と恋仲になるのよ。」「えっ、はあー」

アネットほどの人材がアレの餌食になってしまうのか。もったいない。

 「何、その気の無い返事は・・・あなたも勇者様を狙っているんでしょ。」「私は興味ありません。恋仲なんてまっぴらですわ。」

 「だったら、私の応援をしてくれない。」「まだ、勇者がどんな人かもわからないですよ。」

 「決まっているわよ。召喚されるのだから、素晴らしい人に違いないわ。」「・・・」

俺は彼女に教えてやりたい、勇者は女にだらしない奴だと・・・

 俺とアネットが話しているとCランク冒険者のメンバーの1人が話しかけてくる。

 「アニエスちゃん、俺は初めて見た時からかわいいって思っているんだよね。俺と付き合ってよ。」「私は7歳ですよ。」

 「かまわないよ。結婚は待ってあげるから、いいだろ。」「あなたのような変態はお断りです。」

 「変態だってよー」「お前は、今から変態なー」

メンバーが男をからかう。男はむきになる。

 「明日から俺たちと行動しようぜ。」「嫌です。私のメンバーはアネット様とアニタです。」

 「俺がそんなに気に入らないのか。」「はい、そうです。」

 「俺が下手に出てたらいい気になってー」「君ー、そこまでにしないかなー」

アヒムが男に声をかける。男が気がつくと「アニエス様をあがめ隊」の面々に囲まれている。

 「君ー、アニエス様は我々の天使なんだ。何かあったら分かっているよね。」「は、はい。近づきません。」「よくできました。」

男は青くなり席に戻る。Sランク冒険者10人に囲まれたのだ。彼は肝が冷えただろう。

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