　俺とアニタは無事に朝を迎える。俺はバレーヌ伯夫妻と朝食を食べる。ファヴィアンが俺に言う。

　「すぐに王都に行かなくてもゆっくりされてもい良いのですよ。」「いえ、早く出かけないと夜になり王都の門が閉まってしまいます。」

　「そうですか。帰りはぜひ立ち寄ってください。」「ありがとうございます。お世話になります。」

俺は別に食事をしていたアニタと会うと門の前に待っている馬車に乗る。夫妻は門まで見送りに来てくれる。

　バレーヌ伯領を出て王都に近くなるが途中の村は飢饉の影響を残している。俺は王都の状態を心配する。

　そして、夕方になる前に王都の門の中に入る。俺は、中魔法士試験の時に使った宿に部屋を取る。

　手紙の話では、今日の夜、ローズが訪ねて来てくれることになっている。俺とアニタはローズにあえることを楽しみにしている。

　日が暮れると１階の食堂では食事をする人が増えてくる。俺とアニタが腹ペコになった頃、ローズが訪ねてくる。

　「アニエス様、アニタきれいになったわね。」「お姉様、こそかっこいいです。」

ローズは青いマントに白い制服を着ている。宮廷魔法士の制服らしい。それにスレンダーだったローズが出る所は出ているわがままボディになっている。

　体つきに変化がないのは俺だけか。

　「ローズ様、すごく美しくなりました。」

アニタもローズの変身に感激している。

　「とりあえず、食事にしましょう。」「はい、お姉さま。」「はい、ローズ様。」

俺たちは食堂の席について注文をする。メニューは変わっていないようだ。王都は飢饉の影響は少なかったのだろうか。

　「アニエス様、うわさは王都まで聞こえていますよ。」「どんな噂ですか。」

　「天使と悪魔と呼ばれる美少女２人のことよ。特に天使は一目見るだけで心を奪われるそうよ。」「どこで聞いたのです。」

　「違法な奴隷取引をしていた連中を取り締まった時に聞いたわ。」

俺とアニタは国中の人さらいから狙われているのかもしれない。

　「大丈夫、狙われなかった。」「狙われました。商会を１つつぶしました。」

　「アニエス様らしいわ。飢饉を予測したというのは本当。」「いいえ、偶然です。」

　「でも、商人に食料を備蓄させたのでしょ。」「はい、させましたが、備蓄が少ないのでさせたのです。」

　「ボドリヤール伯領のことは有名になっているわよ。」「それだと、私は目立つのでは・・・」

　「目立っているわよ。貴族が会いに来るかもしれないわよ。」「それは面倒ですね。」

　「そうね、試験の時以外は魔法省に来るといいわよ。」「仕事の邪魔になるのではありませんか。」

　「大丈夫よ、行けば分かるわ。」

俺は、貴族と魔法省を天秤にかける。そして、とりあえず魔法省へ行くことにする。

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