第23話 飢餓の年
そろそろ温かくなる時期だが冬が居座っているように寒い日が続く、エマール王国では季節外れの長雨が続く。
そして、女神テイアが言った通り河川が氾濫して穀倉地帯を押し流す。
こうしてエマール王国では今年の作物の収穫減が確定する。すぐに食料品の値上げが始まる。
ボドリヤール伯の街でも備えていたが徐々に影響が出始める。南地区の少年たちはトウモロコシを諦めてイカ焼きを始める。
ベンたちはお金の貯えがあるため一度店を閉めることにする。ジルベールは領内の村の食料事情を調べる。
ジルベールは館に食料の備蓄をするとともに村々に食料の備蓄をするように指示していた。
ランベルズ商会のベルントと商人ギルドマスターのアルベルトが館にやって来る。俺は父に同席するように指示される。
「アニエス様のおかげで食料の備えが出来ていて助かります。」「ベルントさん儲けはほどほどにしてくださいね。」
「もちろんです。適正な価格で提供する予定です。」
そうはいっても価格は上昇を続けるだろう。すでに低賃金の者は生活が苦しいはずである。
「賭けはアニエス様の勝ちですな。ボドリヤールの商人は食料を備蓄しているのでこの街からの餓死者は最小限に抑えられるでしょう。」「餓死する人も出るのですね。」
「はい、貧民は食料を手に入れられないでしょう。」「その者たちにはボドリヤール家で炊き出しをして食料を配ります。」
「そこまで準備されていましたかさすがです。」「食料は父が備蓄をしたのです。」「それはアニーの意見だったろ。」
「これならボドリヤール伯爵領は何とか飢饉をしのげそうですね。」「他の所はどうなります。」
「大勢の死者を出すことになるでしょう。」
結局、俺は事前に情報を得ていたが助けられたのは自分の領内だけである。
夏になり俺は6歳、アニタは7歳になる。街の食糧事情は悪化が進み、ボドリヤール家で炊き出しを始める。
庭を開放して食事を配るのである。ベンたちと南地区の少年たちが手伝いに来てくれる。
王都にいるローズは手紙を出してくれるので近況が判っている。ローズは王都に戻り宮廷魔法士の採用試験を19歳で合格して採用される。
10代の宮廷魔法士は初めてだそうだ。ローズは宮廷に勤めているため食事には困らないが食事の質が落ちているそうである。
しかし、実家のルマール男爵領は飢饉がひどいそうだ。
王都では軍備の食料を街に放出して餓死者を出さないようにしているそうだ。
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