第22話 事件の終了

 騎士団長によって、俺とアニタは屋敷に送られる。団長は父に事情を話して帰って行く。父は俺に言う。

 「アニー、何をやっている。出ていったまま帰って来ないと思えば、死にかけて騎士団に助けられたそうじゃないか。」「申し訳ありません。お父様。」

 「攫われた子供は助かったのか。」「はい、助け出されました。」

 「お前はまだ5歳だ。大人を頼っていればよい。」「私は7歳で上級魔法士になります。もう一人前でないとだめなんです。」

 「そこまで言うのなら好きにしなさい。死んでも知らんぞ。」「私は死にません。宮廷魔法士になるのですから。」

父は俺に何も言わない。あきれているのかもしれない。アニタが父に頼みごとをする。

 「ジルベール様、私に体術の稽古をつけさせてください。」「お前は騎士だ。剣の腕は上達しているだはないか。」

 「足りないのです。アニエス様を守るには体術も必要です。」「分かった。街に拳法を使う老人がいるから雇うことにする。」

 「ありがとうございます。」「それでいつ修行するのだ。」

 「朝早くに行います。それならスケジュールは変わりません。」「休む時間が減るぞ。」

 「かまいません。私には時間が惜しいのです。」「私も修行させてください。」

 「アニー、何を言っている。拳法だぞ。」「私にケガをさせたのは拳法家でした。」

 「そうか、拳法家に後れを取ったのか。」「はい、すべての攻撃をかわされました。」

 「私は勧めないが、やりたいのならすきにしなさい。」「ありがとうございます。」

俺はアニタと拳法を習うことになる。翌日の午後、拳法家の老人が父を訪ねる。俺とアニタは広間に呼ばれる。

 「私はダリミル・ヴォストリーと言います。」「こちらは私の娘アニエスと従者のアニタです。」

 「まずはお詫びをしなくてはなりません。」「どういうことですか。」

 「お嬢様方に危害を加えたチェスは元弟子でした。奴は私より腕を上げると狼藉を働くようになって破門したのです。それ以来、弟子はとっていません。」「拳法を教えてくれるのでは・・・」

 「はい、お詫びを兼ねて、この老骨、できる限り尽くします。」「お願いします。」

 「では、明日の朝から始めます。」

ダリミルは帰って行く。チェスの師匠なら腕は確かだろう。俺とアニタは翌朝から拳法の修行を始める。

 騎士団はジニアス商会の調査を本格的に始める。しかし、貴族たちからボドリヤールに圧力がかかり調査は途中で終わることになる。

 ジニアス商会の客だった貴族が圧力をかけたのだ。結局、平民の金持ち4人を拘束して、少女7人を助け出しただけである。

 ジニアス商会でかかわっていた者と金持ちの客4人が処刑されて事件は終わる。

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