第17話 ベンたちの自立

 強盗団を倒してから俺とアニタは街の有名人になってしまった。それと同時に天使と白い悪魔のあだ名も広がってしまう。

 いつものように午後、裏通りでベンたちに会うとベンが俺に頼み込む。

 「俺たちに店を持たせてくれ。」「どうしたの。」

 「いつまでもアニエス様のお世話になるわけにはいかないよ。」「私は助かっているけど。」

 「いつかは自分の足で立たないとだめなんだ。」

うん、偉い。俺に丸投げしている女神に聞かせてやりたい。

 (あんた、何か言った。)(いいえ、テイア様の空耳でしょう。)

 (まあ、いいわ。上級魔導士、一発で合格しなさいよ。)(分かっています。ちゃんと努力しています。)

 (あなたの正義の味方ごっこも必要な努力なのかしら。)(これは俺のためにやっているんです。)

 (確かに民衆から人気があれば宮廷魔法士になりやすいかもしれないわね。)(俺は魔王を倒したら楽隠居します。)

 (魔王を勇者に倒させてくれるなら何でもいいわ。)

やはり、魔王を倒しても褒美はなさそうだ。自分で何とかしないといけないな。

 「アニエス様、考え込んでどうしたの。」「いや、ベン、商売するなら何が良いかと考えていました。」

 「僕たちのためにありがとうございます。」

彼らの純真な心は、俺にとって毒だな。少し心が痛む。

 俺は最初、たこ焼きを考えたが異世界に来てからタコを見ていないしタコ焼き器を作らないといけないので鉄板でできるお好み焼きにする。

 これならお好み焼きがだめでも焼きそばがある。

 まずは鉄板を鍛冶屋で作ってもらい。試作を始める。お好み焼きのソースもないため、似た調味料を試してみる。

 3週間ほどかけてお好み焼きと言えるものが出来る。

 また商人ギルドへ行き、アルベルトと面会する。

 「今度はこの子達か。」「はい、許可をお願いします。」

 「あの子たちはうまくやっているが必ず成功するものではないぞ。」「俺たちのお好み焼きは負けていません。」

 「お好み焼き?」「店が出来たら試しに食べに来てください。」

 「店は確保しているのか。」「まだです。」

アルベルトは受付嬢に言う。

 「格安の店舗を紹介してくれ。」「はい。」

こうして、半年の商売の許可証と店舗を手に入れる。材料はランベルズ商会から仕入れることにする。

 ベルントはトウモロコシの商売がうまくいっていることもあり、二つ返事で商談が成り立つ。

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