　夜、ローズが俺の部屋に来る。

　「どうしたんですか、お姉さま。」「私は明日、お屋敷を出るから最後の夜は一緒にいたいと思ったのよ。」

　「もっとここにいてください。」「私が教師をするのは、アニーが中級魔法士になるまででしょ。」

　「そうですが・・・」「私にも目標があるのよ。」

　「宮廷魔法士になることですか。」「そうよ。」

　「私も上級魔法士になって宮廷魔法士になります。」「待っているわよ。」

その晩は、俺はローズに抱き着いて寝る。俺はローズの香りと温かさが好きだ。

　翌朝、朝食は父にわがままを言ってアニタも一緒に食べるようにする。これがローズと食べる最後の食事なのだ。

　アニタはローズから簡単な作法を教えられているため、無事に食事を終える。

　ローズは食事が終わると自分の部屋に荷物を取りに行く。両親と俺とアニタは玄関ホールでローズを待つ。

　ローズは玄関ホールに降りてくると父に挨拶する。

　「ジルベール様、家族同様のお付き合い感謝します。」「よく娘を教え導いてくれて感謝します。」

　「リュシー様、優しくしてくれてうれしかったです。」「いつでも家に来てください歓迎します。」

　「アニー、本当にかわいい妹のようでした。お手紙書きますね。」「お姉さま、必ず追いついて見せます。」

　「アニタ、大変だけど頑張るのよ。」「はい、ローズ様。」

挨拶が終わるとローズは館を出ていく。門には迎えの馬車が待っている。

　俺はローズと離れて寂しいが、努力して追いつけばいいのである。俺は後１１年で勇者が召喚されるのでそれまでに宮廷魔法士にならなくてはならないが、すっかり忘れている。

　ローズは馬車に乗ると王都へ去って行った。これからは自分の力で魔法を学び、訓練していかなくてはならない。

　そして、アニタの剣士になるための訓練が始まる。

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