　試験会場が静まり返る。俺はやり過ぎたと思う。やはり無詠唱の魔法はまずかったのだろうか。

　すると会場の誰かが拍手を始める。続いて拍手をし始める人が出てくる。拍手はだんだん大きくなり試験会場は拍手に包まれる。

　俺は安堵してお辞儀をする。俺は試験官についてくるように言われる。彼は俺を採点官の前に連れていく。採点官は俺に言う。

　「アニエス・ド・ボドリヤール君、魔法の詠唱はどうした。」「頭の中でイメージすることで魔法を発動しています。」

　「詠唱はできないのかね。」「いいえ、詠唱は頭の中で繰り返し唱えることでイメージでとらえることが出来るのです。」

　「試しにファイヤーボールを詠唱して発動してくれるかね。」「分かりました。」

俺は声に出して詠唱をする「熱き力よ、集いて形を成せ。ファイヤーボール」バスケットボール位の大きさの炎の玉が出来る。採点官が言う。

　「詠唱した方が大きな力を使えるようだね。」「いつも詠唱をしていませんのでわかりません。」

　「分かった。合否の結果を待ちたまえ。」

俺は解放されて観客席にいるローズの所に行く。彼女は嬉しそうに言う。

　「アニー、よくできていたわよ。１位合格は決まったようなものね。」「まだアネット・フォン・モンレルランがいますわ。」

　「あの子もよかったわねあれで１０歳だから早ければ１２歳で上級魔法士に合格するわね。」

もし彼女が１２歳で上級魔法士になれば最年少のタイ記録になる。もちろん俺が７歳で上級魔法士になれば最年少記録更新になる。

　中級魔法士の合格者が上級魔法士の試験を受けるには４年間待つ必要があるが、中級魔法士を優れた成績で合格すれば２年後には上級魔法士の試験を受けることが出来る。

　中級魔法士の合格者の発表は、このまま実技の試験会場で行われる。しばらくして、合格発表が行われる。

　発表方法は成績の低い順から合格者の名前が呼び出されて、観客席から試験場に出ていく。

　最初の合格者が呼び出される。合格者は返事をして試験場に出ていく。観客から拍手が起きる。

　５人目の合格者が呼び出されるが、俺もアネット・フォン・モンレルランとポール・トレイユも呼ばれていない。

　６人目にポール・トレイユが呼ばれる。そして、７人目にアネット・フォン・モンレルランが呼ばれる。発表者が言う。

　「次で合格者は最後です。」

俺は緊張する。名前を呼ばれなければ不合格だ。発表者は間をおいてじらす。俺にはすごく長い時間に感じる。

　「では、発表します。アニエス・ド・ボドリヤール。」「ひゃい。」

俺は緊張で変な声を出してしまう。恥ずかしさで赤くなりながら試験場に出ていく。

　合格者は８人である。発表者は言う。

　「試験の合格者の努力に拍手をお願いします。」

俺たちは観客の拍手に包まれる。

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