勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

第20話 中級魔法士の筆記試験

　試験会場は王宮の隣にある魔法士学校で行われる。魔法士学校は魔力が一定以上あれば貴族と平民の区別なく学ぶことが出来る。

　しかし中級魔法士の試験は狭き門である試験は毎年１００人前後受けるが合格者はいつも一桁である。

　ちなみに俺は魔法士学校に通っていない。それは下級魔法士なら誰でも受けることが出来るのだ。

　俺たちは、魔法士学校に来ている。ローズが通りかかった教師に挨拶する。

　「先生、お久しぶりです。」「ローズ・ド・ルマール君か、君の弟子が試験を受けると話題にあっているよ。」

　「私の弟子のアニエス様です。」「アニエス・ド・ボドリヤールです。」「君が噂の弟子か。どれ。」

「霧を晴らして真の姿を示せ。キャリブレイト」教師は俺にキャリブレイトを使う。

　「ほう、すごいなローズ君並みの魔力だ。小さいが何歳かな。」「５歳です。」

　「何、５歳だと。まあ、頑張ってくれ。」

教師は顔色を変えると立ち去って行く。

　「先生を驚かせちゃったわね。」「どうして驚いたのですか。」

　「５歳で受かったら最年少記録更新でしょ。」「そうでした。」

俺の魔力はもっと大きいが常にローズと同じ位に抑えている。もしローズが俺の本当の魔力の大きさを知ったら腰を抜かすだろう。

　ローズは俺を筆記試験会場の教室に案内する。

　「アニー、私はここまでだから頑張るのよ。」「はい、お姉さま。」

俺は教室に入って行く。教室は大きく１００人位余裕に入れる広さだ。俺は自分の受験番号が張られている席を探す。

　俺が通ると男子たちが振り向く。それに熱い視線をいくつも感じる。チャームのせいで俺に見とれているのだろう。

　俺は自分の席を見つけて座ると右隣の男子が話しかけてくる。

　「僕の家は王都で豪商をしているんだ。試験が終わったら遊びに来ないか。」

すると左隣の男子が割り込んでくる。

　「僕の家は伯爵家だ。平民は君にふさわしくないよ。僕と付き合ってくれ。」

俺の周りに男子がたかりだす。俺は男に囲まれて気分が悪い。

　そうしているうちに試験官が教室に入って来る。

　「そこ何をしている席に着きなさい。」

男子たちは仕方がなく席に着く。試験官が俺を見て言う。

　「可憐な花が咲いていたか。しかし、試験に集中しなさい。」

試験官もチャームのせいで頭がお花畑になっているようだ。それでも口説きに来ないのは自制心が強いようだ。

　筆記試験が始まると試験官は俺の隣に来て俺を眺めている。彼の自制心は弱かった。

　筆記試験は８割以上の正答率で合格になる。ちなみに今年は珍しく白紙の回答用紙が３枚あったそうだ。

　それも男子ばかりである。俺のせいではないと思いたい。

　俺は筆記試験が終わると男子に囲まれる前に教室から出る。廊下にはローズが待っていた。

　「アニー、試験はできた。」「はい、全問出来ましたわ。」

　「ところで後ろにいる男子は何なの。」「私に声をかけてきたのです。いやですわ。」

　「相変わらず、もてるわね。あなたたち、近寄らないで。」「あなたは何なのですか。」

　「この子の先生よ。ちなみに上級魔法士だから。」

男子たちは不服そうに去って行く。彼らにとって上級魔法士は雲の上の存在だろう。それで従っているのに違いない。