第17話 王都に着く
翌朝、ファヴィアンは俺に改めて謝罪する。彼は目の下にクマを作っている一睡もしていないのだろう。
「昨晩はブレーズが卑劣な行為をして済まなかった。」「ファヴィアン様がしかるべき措置をしていただければ構いませんわ。」
「息子がアニエス嬢が無詠唱で魔法を使ったというのだが本当なのか。」「私は昨晩のことを口外するつもりはありません。よろしいでしょうか。」
「分かった。詮索はしないでおこう。」
ファヴィアンは父の友人であるだけあって、話が分かるようである。
俺たちは、朝食を済ませると出発する。護衛の元野盗たちは機嫌がいい。どうやら食事が良かったらしい。
街の門を通り、道は牧草地を通っている。途中、村の中を通るが今度は野盗の襲撃と間違われることはない。護衛の身なりを変えただけでえらい違いだ。
俺たちの旅は順調に進み、夕方には王都の門に着く。俺たちは門を揉めることなく通される。俺は見た目は大切だとつくづく思う。ローズが俺に言う。
「アニー、危なかったね。」「何か危険がありましたか?」
「日が暮れると門を閉ざすから入れなくなるのよ。もう少し遅ければ野営をすることになっていたわ。」「野営は危険なんですか。」
「街の中に比べれば危険かしら。アニーを野営させるわけにはいかないでしょ。」「私はお姉さまと一緒なら大丈夫です。」
「今日は門の近くで宿を見つけましょ。」「はい、お姉さま。」
俺たちは宿を回り3件目の宿に泊まることにする。ローズはもう少し良い宿にしたかったようだが、護衛の部屋も借りなければならないので、部屋があるこの宿に決める。
この宿は1階が食堂になっているのでここで夕食を取ることにする。元野盗が言う。
「俺たちがアニエス様達と同じテーブルでよろしいのですか。」「同じ宿に泊まるのですから、構いません。」
「さすが、俺たちの天使、お優しい。」「アニーのやさしさに付け込んだらだめよ。」「はい、姉さん。」
ローズは、元野盗たちの姉貴分になってしまっている。俺は賑やかな食事の方が性に合っているのか楽しい時間を過ごす。
部屋はローズと一緒である。ベットが2つあり、寝る時、別々なのは少し残念だ。
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