第6話 魔法ばれる
俺は3歳になり、庭に出るようになったが、その時はいつも乳母のクロエがついているので魔法は使えない。
しかし、部屋の中で魔法を使うだけなのも限界がある。そこで窓を開けてウオーターボールを撃ち出して目標に当てる練習をする。
この練習は面白かった。どんどん精度が上がって行くので楽しいのだ。俺は調子にのっていた。
使うウオーターボールをだんだんと大きくする。当然、屋敷の庭は水浸しになる。
そして、俺の知らないところで使用人たちが庭が水浸しになる原因を調べ始める。
俺は今日も庭に人がいないことを確認してウオーターボールを撃つ。うん、気持ちいい。
しかし、それは使用人が隠れてみており、父と母に報告が行く。
「ジルベール様、リュシー様、お話がございます。」「何かありましたか。」
ジルベール・ド・ボドリヤールとリュシー・ド・ボドリヤールは俺の父と母である。
「アニエス様が魔法で庭を水浸しにしています。」「本当か。アニーはまだ3歳だぞ。」
「間違いありません。複数の者が確認しています。」「そうか、アニーは天才だな。」
「あの庭が水浸しに・・・」「分かっている。やめさせることにする。それより魔法の先生を雇わないか。」
「あなた、良い考えですわ。」
能天気な両親は、俺が魔法を使えることを深く考えずに喜んだようだ。夕食の時、父は俺に言う。
「アニー、魔法が使えるんだって。」「そ、それは・・・」
まずい、両親にばれた。本を取り上げられるか。正直に話すしかないか。
「アニー、すごいじゃないか。パパは自慢しちゃうぞ。」「お父様、魔法のこと隠していました。」
「3歳で隠し事かー、もしかして彼氏を作っていないだろうな。」「私は、お父様のお嫁さんになりたいです。」
「そうか、うれしいぞ。」「・・・」
このままはぐらかせるかな。「パパのお嫁さんになる」は父親殺しの言葉だ。効果は絶大。このまま魔法のことはうやむやになれ。
「アニー、パパは魔法の教師を雇うことにしたぞ。」「それは、うれしいわ。」
魔法の教師、もしかして頭の堅そうなじじいが来るのか。女神テイアが急に割り込んでくる。
(ほら、王都の魔法使いに来てもらうように頼みなさい。)(俺は魔法少女がいいです。もちろん美少女で。)
(何言っているの。人脈を作るチャンスよ。)(はい、はい、王都の魔法美少女ですね。)
「お父様、先生は王都の人がいいわ。」「アニーを任せるんだ。良い先生を雇うぞー」
テンションの高い父は俺の言うことを聞こえていないらしい。
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